僕が生まれて初めて飛行機に乗って訪れた外国はフィリピンでした。

大体、生まれて初めて行った国はファンになる場合が多いのではないかと思います。

僕の場合もそういう単純な理由からフィリピン贔屓です。

フィリピンは1960年代までは東南アジアで最も豊かな国のひとつでした。マニラは今ならさしずめシンガポールのような華やかな都会だったのです。

しかしマルコス大統領の独裁はだんだんこの国を蝕み、1983年のある事件をきっかけにフィリピンは東南アジアの発展からひとり取り残されてしまいます。

その事件とはマルコス大統領の政敵だったベニグノ・アキノ・ジュニア上院議員が海外の病気療養から帰国したとき、マニラ国際空港でタラップを降りた直後に暗殺されるというショッキングな事件です。
Shot_Dead_on_Arrival

この事件は世界に報道され、フィリピンはとんでもない治安の悪い国だというイメージを植え付けてしまいました。

さらに駐在員の誘拐事件などが起きた事から外国企業はだんだんフィリピンを敬遠するようになったのです。

折角、開かれた経済や英語が通じる国などのメリットがありながら、その後のフィリピンは海外からの投資の対象になりませんでした。

同国の持つ腐敗のイメージ、官公庁がしっかりしていないこと、地場のコングロマリットがしっかり縄張りを作ってしまって外国企業の新規投資の妨げになっている事なども海外からの投資の不振の原因です。

結果としてフィリピンのインフラストラクチャは脆弱で、産業基盤は弱く、製造業の開発機会に乏しいです。

政府の歳入は他のアジア諸国に比べると弱いです。

下のグラフはフィリピン政府の収入と支出をGDPの%で示したものです。
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政府の収入がGDPの14%くらいしかありません。

タイと比べると政府の存在感が薄いことがわかります。
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母国に産業基盤が無いため、フィリピンでは高失業率が定着していました。
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このため若い労働力は海外への出稼ぎとして国外に流れてゆきました。そのような出稼ぎ労働者の本国の家族への送金が同国の重要な外貨獲得源になっています。

最近ではインターネットの発達でコールセンターやSkype英語など新しいタイプのビジネス・サービス産業が出現しつつあります。

またBRICsブームのようなホットマネーとも無縁だったため、リーマンショックの後遺症にも悩まなかったし、最近のギリシャ問題のような材料で毎日、Risk-On、Risk-Offというめまぐるしい国際間の資金移動に振り回されることもありません。

こうした事を背景にフィリピンの近年のGDP成長率はだんだん加速している印象を与えます。
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フィリピンの強味は近隣の新興国に比べて物価が安定している点です。
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政府負債はそれほど多くありません。
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経常収支は黒字です。
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地縁や既得権益が強く、排他的で後進的なビジネス風土が改まらない限りフィリピンの本格的なテイクオフは期待薄だと思いますが、そのような因習に長く悩まされてきたインドやバングラデシュのような国々でも最近はずいぶん変わってきているのでフィリピンだけが変われないという理由は無いはずです。

なおフィリピンに投資するにはiShares MSCI Philippines ETF(ティッカー:EPHE)が手ごろです。
ephe