クリスマスから新年にかけてワイフの親戚がカリフォルニアのピズモ・ビーチに集まりました。

僕にとってこのような機会は仕事の人間関係ではなく、普通のアメリカ人が何を考えているのかを垣間見る良い機会です。

今回話題になったのは米国における格差の拡大の問題です。

言い直せば「1%対99%」の問題ということです。

特になぜ格差が生じるのか?という点が議論になりました。

このような話題になると真っ先にやり玉に挙がるのが経営者の欲深さです。

アメリカでは経営者の報酬はしばしば一般社員の数十倍になります。そのような途方もない報酬を是認する風土が格差を生んでいるという認識を多くのアメリカ人が持っています。

こつこつ新しいものを創り出す仕事よりも、すでに存在するものをぶち壊したり弄り回す仕事の方が面白いし、儲かるというのもアメリカのビジネス界の特徴です。

具体的にはコンサルティング会社や投資銀行やPEファンドがそれに相当すると思います。

これは言わば公然の秘密であり、学生もよく承知しています。


それが証拠に去年紹介したCNN Moneyが全米のビジネス・スクールの学生に対して実施したアンケート調査で「就職したい会社」の上位にランクされた企業は次の通りです:

1. グーグル
2. マッキンゼー
3. アップル
4. ゴールドマン・サックス
5. ボストン・コンサルティング
6. ベイン
7. フェイスブック
8. アマゾン・ドットコム
9. JPモルガン
10. ナイキ
11. ウォルト・ディズニー
12. デロイト
13. ブラックストーン・グループ
14. ジョンソン&ジョンソン
15. モルガン・スタンレー
16. IDEO
17. ゼネラル・エレクトリック
18. マイクロソフト
19. プロクター&ギャンブル
20. BMW

中にはウェブ企業のように新しいサービスを創造しているところもありますが、コンサルティング会社や投資銀行が多いことが注目されます。

つまり高報酬を貰っている経営者やコンサルティング会社や投資銀行などを批判する一方で、(いつかはボクもそうなりたい)と思っている自分がそこに居るわけです。

もちろん、「このままではアメリカは駄目になる。アメリカもモノ作りに回帰しないといけない」と主張する人も居ます。

とりわけ雇用という視点からはコンサルティングや投資銀行は十分な雇用機会を創出できないのでそれらに依存することは出来ません。

しかしいざアメリカがモノ作りに回帰しようと思っても、日本や中国といった強力なライバルが居ます。

貿易可能品目(tradable goods)は賃金の安い国からどんどん押し寄せてくるので現実問題としてアメリカでは競争にならないのです。

これを如実に表す例として、米国ではスマートフォンや衣服などのモノの値段は安いです。それと対照的にキッチンの改装をする際の工務店の労賃、歯医者さん、ヘルスケアなどローカルに提供されるサービスの値段はバカ高いです。

つまり二極化が起きているのです。

残念ながら大学の授業料も後者に属するため、どんどん値上がりしています。アイビーリーグの大学なら4年間のコストは軽く1,600万円くらいかかります。

するとアメリカで勝ち組のカーストに入ろうとすれば投資銀行やコンサルティングのような虚業の世界を目指すのが早道になるけれど、そこに潜り込むためには高い授業料を払って良い大学へ行く必要があるわけです。

つまり裕福かどうかが子供の将来をかなり決めてしまうのです。これは階層の固定化を招きます。

「アメリカはチャンス(機会)の国と言われながら、現実には途は閉ざされているではないか!」

Occupy Wall Streetなどの抗議行動はそういう現状に対する絶望感から発生したと考えることも出来るかも知れません。