アメリカ人の93%は日常的にラジオを聞き、その80%は音楽番組です。

音楽を聞く場所は通勤や通学途中のクルマの中が圧倒的に多く、47%を占めています。
次に多いのは家庭で35%、オフィスは18%となっています。

パンドラ・メディア(ティッカー:P)はインターネット・ラジオの企業です。
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インターネット・ラジオは競争の激しいセクターですが、同社はその中にあって視聴者数でダントツのNo.1です。

パンドラは自分達のライバルは他のインターネット・ラジオの競合他社ではなく、ラジオ局だと考えています。

従って同社のパフォーマンスを計測する尺度もラジオ局の中でのマーケットシェアを最も重視しています。全米の全てのラジオ局の中での同社のシェアは現在4.3%になっています。

同社が現在、もっとも力を入れているのは車載ラジオにパンドラを提供することです。

既に多くの自動車メーカーがパンドラを搭載したモデルを販売しています。また自動車会社のテレビCMでもパンドラを搭載していることをアピールする広告が増えています。これらの広告料はパンドラが負担しているのではなく、あくまでも自動車メーカーが個々の判断でパンドラ搭載を謳い文句にしているのです。

いわばパンドラは無料で自社のサービスを宣伝して貰っているわけで、これはラッキーです。


下はフォードのフィエスタという小型車に搭載された『シンク』という音声コマンドシステムでパンドラを操作している様子です。

下はパンドラの売上の推移です。
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同社は売上高の85%が広告収入、残りが定期購読です。

同社の問題点としては先ず音楽の版権のコストがかかるため、利幅が薄い点です。アナリストの中には「この会社は永遠に利益をだすことは出来ない」と断言する人も居ます。

次に1時間のうちにリスナーがスキップ(次の曲へとばすこと)できる回数を制限している点です。

またリスナー1人当り100チャンネルまでしか自分の好きなアーチストやジャンルをプリセットできません。

パンドラのライバルのインターネット・ラジオ局の中にはスキップに制限を設けず、さらにチャンネル数にも制限を設けていないところもあります。また特定のアーチストの特定の曲を探す場合、パンドラより遥かに操作性の高いサービスを提供しているところもあります。

ただパンドラは自分達の事をあくまでも従来のラジオ局のような存在だと考えており、ローカル広告の広告取りの営業のために大きな営業隊を抱えています。そして郵便番号やユーザー・プロフィールなどを通じて従来のラジオ広告よりずっとターゲットを絞った訴求を広告主に提案しています。

ラジオ広告の市場は圧倒的に通勤などの車載ラジオ市場向けである以上、他のインターネット・ラジオ企業がどんなに素晴らしいソーシャル・アプリなどを出してきてもクルマで聴けなければ広告売上は伸びません。

その意味でパンドラは一人勝ちしていると思います。