アメリカで1週間に1度出される投資関連の新聞、『バロンズ』の今週の巻頭特集は高配当銘柄です。

そこでは「マジックナンバーは配当利回りで4%だ」と宣言されています。
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僕は今年の投資方針として「配当利回りで3%から5%のゾーンに入っている企業を買いましょう」ということを提唱しているので、基本的には『バロンズ』のこの記事の考え方と近いわけです。

アメリカでは短期金利が限りなくゼロに近い水準になっています。連邦準備制度理事会は少なくとも2013年の夏までは現在の政策金利を維持すると公言しています。

少しでも有利な利回りを狙おうと思えば償還期限の長い債券や連邦政府以外の発行体が出す債券に手を出す以外に道はありません。その場合でも「トレジャリーはせいぜい3%、ハイクオリティーなミュニ・ボンドでも3.5%程度の利回りしか確保できない」とバロンズは指摘しています。

つまり利回り面でお買い得な投資対象を債券の中から選ぼうと思うと、かなりしんどいわけです。


ここで僕の意見を付け加えるならば、いま乱暴に債券の世界と株の世界を高いところから俯瞰したとき、債券の場合、国などの公的な発行体が出す債券を中心に出し手のファンダメンタルズは一部の新興国などを除けば近年どんどん悪化しました。

ギリシャはその極端な例ですけど、ファンダメンタルズの悪化という意味ではアメリカやフランスで起こっている事も方向性としては同じです。

一方、世界の大企業に目を転じるとリーマンショックという大きな悪材料があったにもかかわらずそれらの企業のキャッシュフローを生み出す力、配当を払い続ける力には後退は見られません。いや、むしろ一層それらに磨きがかかった企業が多いです。

つまり国より大企業の方が健全なのです。

『バロンズ』はそのように今の米国の大企業には増配する力があるにもかかわらず企業は配当を増やそうとしていないと指摘しています。言い換えれば配当性向(利益のうちどれだけを株主に配当として還元するか?という尺度)が下がっているというわけです。

実際、アメリカのS&P500指数の配当性向は90年代前半には60%以上あったのに、現在は30%を割り込む状況になっています。

『バロンズ』は儲けているにもかかわらず余り配当を払っていない企業としてハイテク株やヘルスケア関連の一部銘柄を例に出しています。

「これらの企業は将来、増配する余地があるので面白い」という考え方も確かに出来るでしょう。

しかし実際には配当を切り口に株を買う投資家(=高利回りファンドやリタイアした高齢の個人投資家など)は成長株などの投資家とはぜんぜん違う購買層です。利回り重視の投資家はあくまでも「今年なんぼ貰えるねん?」という確かな配当収入を優先するので実績として高い配当を払い続けてきた会社でなければ考慮しません。

その意味で『バロンズ』の示した、「これからもっと配当を出す余力がある会社」のリストはナンセンスだと僕は思います。

次に『バロンズ』は「現在の高配当銘柄」のリストも掲載しています。どちらかと言えばこのリストの方が前出のリストより利用価値があると僕は思うけれど、このリストにも問題があります。それは確かに高配当だけど、「フーフー」言いながらやっとのことで高配当を維持している企業も散見されるからです。

僕が最も重視するのは:

1.既に高い配当を過去に払い続けてきた実績のある企業で
2.しかも配当性向を引き上げなくても自然な増益によりもっと配当をふやせる会社


です。

この基準から選んだ僕のリストは:

シェブロン(CVX)
ジョンソン&ジョンソン(JNJ)
クラフト・フーズ(KFT)
メルク(MRK)
ダウ・ケミカル(DOW)

になります。銘柄によっては過去に個別企業の紹介で言及したものもありますが、特に過去のEPSと配当と一株当りキャッシュフローの推移のグラフが掲載してあるものに関しては:

「配当にくらべてEPSがどれくらい大きいか?」
「EPSに比べて一株当りキャッシュフローがどのくらい大きいか?」


という点に注意を払ってください。この余力が大きいほど、マージン・オブ・セイフティ(安全ののりしろ)は大きいと言えます。