ブルームバーグは調査会社フォルサが8日発表した結果でメルケル首相率いる与党、キリスト教民主同盟(CDU)への支持率が2009年以来最高の38%に達したと報じています。

僕の考えでは去年の年末にメルケル首相が音頭を取って財政統合(fiscal integration)に向けてイギリスを除く欧州各国の合意を取り付けたことが大きく貢献していると思います。

財政統合とはおのおのの国が自ら緊縮財政の目標を設定し、それに向けて努力するとともに、若し目標に達成できなければ自動的な予算一律カットなどの条項を設ける事で規律を守るという自主宣誓を指します。

今回、欧州の大部分の国がメルケル首相のこのイニシアチブに賛同したことでドイツの威信はグーンと高まりました。

さらにドイツはユーロ通貨圏を護ることで比較的弱い通貨、つまりユーロを使う事の輸出競争力面でのメリットを最大限に享受しているのです。

ドイツのモノづくりの基盤は強固で、しかも巨大です。その反面、ドイツの国内消費市場は小さいだけでなく、虚弱です。



下のグラフはドイツの小売売上高ですが12月はマイナス1.4%と冴えませんでした。
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つまりドイツ産業界は国内の消費者に期待をつなぐことは出来ないのです。

ドイツの製造業がドイツ国内の市場だけに頼っていては到底生きてゆけない事の具体的事例として、下にBMWの地域別出荷動向のチャートを示します。
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ドイツ(青)は全体の17%しかありません。またドイツ以外の欧州(赤)は34%と比較的大きいです。共通通貨ユーロを使うとスペイン、イタリア、フランスなどの消費者はBMWを買いやすくなることは言うまでもありません。

ドイツは80年代終盤に「ベルリンの壁」が崩壊して以来、西ドイツと東ドイツが統合する過程を通じて、如何に産業基盤を維持し、雇用を維持するか?という難問に直面しました。

その時、ヘルムート・コールは「統合によってドイツ人の一人として置き去りにしてはいけない」という事を主張し、そのためには産業界と社会の構成員の一人ひとりがある合意をしなければいけないと考えました。

それは単純に言えば「当分の間、賃上げは諦めよう。その代わりに給料の高い西ドイツの工員をクビにして薄給の東ドイツの工員だけを雇用するなどの目先的な経営判断は控えて欲しい」ということです。

このような努力もあり、ドイツは輸出競争力の維持に成功しました。
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この一方でギリシャ、イタリア、スペインなどの国々は通貨ユーロを使用しはじめて以降、じりじり単位労働コストが上昇していることがわかります。

ドイツが製造業の基盤の維持に成功し、輸出型経済モデルのままでも成功していることは経常収支を見ればわかります。
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国内産業が健全で、工場がガンガン稼働しているからこそドイツの雇用市場は健全なのです。
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ドイツの為替政策(それは共通通貨ユーロの維持にほかならないわけですが)の正しさは他の欧州各国の雇用市場を見た時、極めて明白です。
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日本も少しドイツの爪の垢を煎じて飲めば良いのではないでしょうか?