ギリシャ第二次支援問題が片付いたので欧州からのニュースを余り目にしなくなりました。しかしこれでユーロ危機の問題は終わったわけではないし、「EUの将来はどうあるべきか」という命題は引き続きヨーロッパのリーダー達の頭の中を支配しています。
これについてニューヨーク・タイムズが先日、興味深い記事を掲載しています。
その記事はベルリンからクルマで1時間ほど北へ向かったところにある村、メセベルクにある迎賓館を巡るエピソードです。
メセベルク城ゲストハウスは湖畔に立つ18世紀バロック風宮殿ですが冷戦時代は東ドイツの生協(Konsum)が一階に入っており、上階には9家族が住んでいたそうです。
一時、この建物を科学アカデミーの保養所にする計画もあったのですが、東西ドイツ統合後はブランデンブルグ州政府の所轄下で荒れるに任せた状態となっていたそうです。
その後、1995年にメッサーシュミット基金がこのお化け屋敷を買い取り、11年の歳月と3,000万ドルの費用を投じてリニューアルしました。
言うまでも無くメッサーシュミットとは第二次世界大戦のドイツの戦闘機メーカーです。
ドイツ政府はこのメセベルク城ゲストハウスを「ドイツ版のキャンプ・デービッド」にするためにメッサーシュミット基金と交渉し、2007年以降、20年間に渡って家賃年間1ユーロという破格の安値で貸与してもらう約束を結びます。(なおドイツ政府が借りているのはたぶん白壁に赤い屋根のメインハウスだけで、敷地の中にあるホテルやレストランはまだ営業していると思うのですが、それについては自信がありません。)
さて、メルケル首相は隠密外交をする際、このメセベルク城ゲストハウスをたいへん好んでいるようです。
その理由はギリシャ危機以降、何度も繰り返されてきたEUサミットのような場では緊急に討議しなければいけないアジェンダがあり、ささくれたムードの中でネゴシエーションを繰り返さねばならなかったからです。
その点、メセベルク城ゲストハウスでは招待した外国の首脳と1対1でゆっくりと話し合う事が出来ます。ゲストハウスの地下は昔、生協のキッチンがあったそうですが、今はワインバーになっており、30人のゲストを収容できる居心地の良いスペースになっているそうです。
これについてニューヨーク・タイムズが先日、興味深い記事を掲載しています。
その記事はベルリンからクルマで1時間ほど北へ向かったところにある村、メセベルクにある迎賓館を巡るエピソードです。
メセベルク城ゲストハウスは湖畔に立つ18世紀バロック風宮殿ですが冷戦時代は東ドイツの生協(Konsum)が一階に入っており、上階には9家族が住んでいたそうです。
一時、この建物を科学アカデミーの保養所にする計画もあったのですが、東西ドイツ統合後はブランデンブルグ州政府の所轄下で荒れるに任せた状態となっていたそうです。
その後、1995年にメッサーシュミット基金がこのお化け屋敷を買い取り、11年の歳月と3,000万ドルの費用を投じてリニューアルしました。
言うまでも無くメッサーシュミットとは第二次世界大戦のドイツの戦闘機メーカーです。
ドイツ政府はこのメセベルク城ゲストハウスを「ドイツ版のキャンプ・デービッド」にするためにメッサーシュミット基金と交渉し、2007年以降、20年間に渡って家賃年間1ユーロという破格の安値で貸与してもらう約束を結びます。(なおドイツ政府が借りているのはたぶん白壁に赤い屋根のメインハウスだけで、敷地の中にあるホテルやレストランはまだ営業していると思うのですが、それについては自信がありません。)
さて、メルケル首相は隠密外交をする際、このメセベルク城ゲストハウスをたいへん好んでいるようです。
その理由はギリシャ危機以降、何度も繰り返されてきたEUサミットのような場では緊急に討議しなければいけないアジェンダがあり、ささくれたムードの中でネゴシエーションを繰り返さねばならなかったからです。
その点、メセベルク城ゲストハウスでは招待した外国の首脳と1対1でゆっくりと話し合う事が出来ます。ゲストハウスの地下は昔、生協のキッチンがあったそうですが、今はワインバーになっており、30人のゲストを収容できる居心地の良いスペースになっているそうです。
そこでワインを傾けながらヨーロッパの将来について語り合うというわけです。
メルケル首相はスポットライトを浴びるのが大嫌いで、静かで周到な根回しを好みます。これは彼女の師匠であるヘルムート・コールのやり方を完全に踏襲したものです。
そして先ず大国のリーダーを呼ぶのではなく、ヨーロッパの小国のリーダーを入れ替わり立ち替わりゲストハウスに呼んで個人的なリレーションシップを築き上げるとともに「あなたの意見もちゃんと聞きますよ」という姿勢を相手に強く印象付けます。
そうやって外堀を埋めておいてから大国を料理にかかるのだそうです。
いまやドイツは押しも押されぬヨーロッパのリーダー国として誰からも認知される存在になりました。
しかしメルケル首相は半ばイヤイヤそういう役回りを演じる羽目に陥ったのです。ユーロ圏財政危機で各国が窮地に追い込まれた際、ドイツだけが究極の貸し手としてそれらの国を救える立場にあったからです。
こうして問題国に沢山の資金を貸してしまった以上、ドイツは自分の貸したお金が必ず戻って来るように貸付先を監視し、必要であれば口出しし、自分の利害を守る必要があります。
メルケル首相が最近、「more Europe, not less Europe!」という事を口癖のように言うのはそのためです。
それはヨーロッパが経済的ならびに政治的に統合の度合いを深めてゆく事を意味します。
【追記】
ネットでメセベルク城ゲストハウスを調べて見たのですが、なかなか良さそうな処ですね。でも正直、(この程度のシャトーなら、ウチの近所のナパ・バレーにゴロゴロあるよね)と思いました。しかしディアンドル(オクトーバーフェストなどの際にドイツ娘が着る民族衣装)姿のウエイトレスさんが勢ぞろいしている写真を見て「あーっ」と思いました。こりゃナパには無いセールスポイントだわ。
メルケル首相はスポットライトを浴びるのが大嫌いで、静かで周到な根回しを好みます。これは彼女の師匠であるヘルムート・コールのやり方を完全に踏襲したものです。
そして先ず大国のリーダーを呼ぶのではなく、ヨーロッパの小国のリーダーを入れ替わり立ち替わりゲストハウスに呼んで個人的なリレーションシップを築き上げるとともに「あなたの意見もちゃんと聞きますよ」という姿勢を相手に強く印象付けます。
そうやって外堀を埋めておいてから大国を料理にかかるのだそうです。
いまやドイツは押しも押されぬヨーロッパのリーダー国として誰からも認知される存在になりました。
しかしメルケル首相は半ばイヤイヤそういう役回りを演じる羽目に陥ったのです。ユーロ圏財政危機で各国が窮地に追い込まれた際、ドイツだけが究極の貸し手としてそれらの国を救える立場にあったからです。
こうして問題国に沢山の資金を貸してしまった以上、ドイツは自分の貸したお金が必ず戻って来るように貸付先を監視し、必要であれば口出しし、自分の利害を守る必要があります。
メルケル首相が最近、「more Europe, not less Europe!」という事を口癖のように言うのはそのためです。
それはヨーロッパが経済的ならびに政治的に統合の度合いを深めてゆく事を意味します。
【追記】
ネットでメセベルク城ゲストハウスを調べて見たのですが、なかなか良さそうな処ですね。でも正直、(この程度のシャトーなら、ウチの近所のナパ・バレーにゴロゴロあるよね)と思いました。しかしディアンドル(オクトーバーフェストなどの際にドイツ娘が着る民族衣装)姿のウエイトレスさんが勢ぞろいしている写真を見て「あーっ」と思いました。こりゃナパには無いセールスポイントだわ。