スペインの失業率は24%で、若者の二人に一人は無職です。

スペインの景気はダブルディップ・リセッション(二番底)に陥っています。
スペインGDP

しかも不動産市場の低迷はこれからが本番です。

この八方塞の状況で、スペイン政府は最後の反撃のための秘策を練っており、それが近く公表されるはずです。

その秘策とはスペインの「マカオ化」計画です。

総額にして210億ドルという巨費を投じて、マドリードないしはバルセロナに「ユーロ・ベガス」を建設しようという遠大な計画が、いま最終的な詰めの段階に来ているのです。

この計画の中心になっている企業はラスベガス・サンズ(ティッカー:LVS)です。

ラスベガス・サンズは『ベネチアン・マカオ』や、シンガポールの『マリーナ・ベイ・サンズ』などの大規模開発を成功させてきました。

この結果、同社のEBITDAに占める地域別貢献度はマカオが45%、シンガポールが45%、米国が10%となっています。

しかも同社のアジアへの進出はリーマンショックによる世界経済の混乱期を跨いでいます。

大規模開発のための借金をした後で、世界不況が襲ったので、一時は「ヤバいのではないか?」と懸念された時期もありましたが、同社の開発した物件がしっかりしたキャッシュフローを産める、優良な物件であったことが幸いして、キョーレツに業績はリバウンドしています。

そうした経緯から、同社のプロジェクト遂行能力や市場創出する企画力には投資家も高い信頼を置いています。

スペインのカジノ計画では当初4つの大型ホテルを建設し、ゴルフ・コースや見本市会場も設けることになっています。それらにより26万人の雇用を創出する計画です。



これは同カジノが仮にマドリードに行くと決まれば、マドリード市の失業者数を一気に半減させるインパクトを持っており、バルセロナとマドリードがこの巨大プロジェクトの誘致を巡って大バトルを演じているのも納得します。

スペインは気候が良いし、飛行機で5時間以内のところに10億人が住んでいます。

シンガポールの『マリーナ・ベイ・サンズ』を建設したときの経験では、これによりシンガポールへの観光客の訪問数が約15%も増えました。

カジノ・プロジェクトの特徴は、誘致する側に元手となる事業資金が不足していても、お金は資本市場から直接調達できる点にあります。(実際、僕が投資銀行に勤めていたときは、カジノとクルーズ船の二つのビジネスが法人顧客としては最上級の得意先でした。そのひとつの理由はプロジェクトの事業キャッシュフローが比較的読みやすいからです)

なお蛇足ですが、本当はラスベガス・サンズが着手したかった次期大型プロジェクトは日本市場への進出でした。

しかし今ではベトナムや韓国などの、日本よりスピード感のある政府がサンズの誘致に積極的であり、同社の中での日本の優先順位は(少なくとも投資家目線では)下がりつつあります。