ウェブ上で音楽のストリーミング・サービスを提供するスポティファイ(Spotify)が今日、コマーシャルを挿入することで無料で音楽を配信する、いわゆるインターネット・ラジオ型のサービスに参入すると発表しました。

スポティファイはこのサービスをアップル(AAPL)のアプストアを通じて提供するとしています。

スポティファイはデスクトップ上で使用する場合に限ってはパンドラよりもセレクションや機能性で優れていると思います。だからコアなファンが多いです。

しかしモバイル戦略では致命的に出遅れています

スポティファイのユーザーは約1,000万人(全世界)で、そのうち課金出来ているユーザーは300万人に過ぎません。

一方、パンドラ・メディア(ティッカー:P)は1.5億人(米国のみ)の登録ユーザーを誇り、過去30日に同社のサービスを利用したアクティブなユーザーは4,900万人居ます。

さて、アメリカ人が最も音楽を聞く場所は通勤、通学のクルマの中で、全体の47%を占めています。

いま伝統的なラジオはどんどんパンドラ型のインターネット・ラジオへと置き換わっています。

下はキャデラックの動画ですが、ダッシュボードに出て来る「P」の文字はパンドラのアプリです。伝統的ラジオではなく、パンドラのアプリがデフォルト・ポジションになっている点は極めて深淵な意味があると思います。



(なお一言余計かもしれませんが、キャデラックというのはお爺ちゃん、お婆ちゃんが乗る車というイメージがあります。だから車載ガジェットは最先端ではなく、流行遅れで情弱な人向けのメインストリームなものでなければいけません。そのキャデラックでさえ、パンドラがデフォルトになっているという点が重要なのです)

僕の考えでは「P」のボタンの他に自動車会社が「Spotify」のサービスに向けて、いろいろクルマのハードウエアやソフトウエアを造り直す事は容易ではない気がします。

別の言い方をすれば、車載インターネット・ラジオのデザイン上のスロットはひとつしか無いという事です。

コダックの『コダクローム』や複写機の『ゼロックス』のように『パンドラ』と言えばインターネット・ラジオを指す、、、すでにパンドラはそういうブランドになってしまっているのです。

それからスポティファイがパンドラ型のサービスを軌道に乗せるときの最大の難関はアプストアを設置することではありません。ラジオ型の無料サービスである以上、売上を上げるためには「広告取り」をしないといけないのです。そのためには全国の都市をカバーする、アド・セールスフォースが必要になります。

パンドラ・メディアの場合、ラジオ局の広告営業部に勤めていたアド・セールスマンをごっそり引き抜いています。だからスポティファイが広告取りのためのチームを組成しようとしたときには、経験豊富でローカル広告事情に明るい営業員は、全てパンドラにおさえられてしまっている危険があるのです。

投資というものを考えた場合、人々のライフスタイルや生活パターンを変えてしまうようなサービスに投資するというのはエキサイティングかつ有効な切り口です。

その点、パンドラは明らかにアメリカ人のライフスタイルに大きなインパクトを与えています。