シェールガスの開発はひとつの新技術や発見がきっかけとなって、突然起こったのではありません。

20年以上にも渡る、小さな改良の集大成がそれを可能にしたのです。

僕がアメリカに来た1980年代の米国内の石油開発事情は、エクソンやシェブロンなどのオイル・メジャーが米国内の石油や天然ガス田から撤退し、それとひきかえに一部の独立系生産会社が、喰い散らかされ、傷むに任された油田を安値で買い受けるという構図でした。

独立系生産会社は間接費が比較的低かったことに加えて、積極的に新技術を導入することで生産効率を高める事が出来るという信念を持っていました。

そのひとつがホリゾンタル・ドリリング(水平掘り)という技術です。

これは一旦、地下深くに垂直に掘り進んだ後、ドリルビットを抜いて(下のビデオの3:37)、自走式で横に向けて走れるドリルで掘り進むことで、効率良く生産層を貫くやり方です。



もうひとつの重要な技術はフラッキング(破砕法)と呼ばれるもので、掘った水平の穴を先ずセメントで固めた後、パーフィング・ガンと呼ばれる爆破装置(下の動画の0:18)で水平な穴の周囲に亀裂を入れる技術です。

三番目の新しい技術はそうやって開けた亀裂にプロペントと呼ばれる特殊液を注入し、亀裂を広げることで天然ガスを流れやすくした事です。

これらの作業は何段階にも渡る複雑なオペレーションにより実行され、その過程で沢山のサービス会社が関与します。

つまり産業全体としての裾野が広く、ノウハウの蓄積がなければ、一朝一夕にコピーすることは出来ないのです。

外国の石油会社がアメリカで先ずシェールガスに関連する企業やプロジェクトの権益に投資し、ノウハウの取得に努めるのはこのためです。