日本の航空会社の増資のニュースが相次いでいます。

日本航空(JAL)は9月に株式の再上場(IPO)を目指していますし、全日本空輸(ANA)は三日、最大2,111億円の公募を発表しました。

日本の航空会社による資金調達ブームは海外のメディアでも注目されています。特に三日付けのニューヨーク・タイムズはビジネス・セクションの第一面でこれを大きく取り上げています

記事の書き出しは次のような調子です:

9月に予定されているJALのIPOはモンスターだ。日本国民の血税を注ぎ込んで組織再編を済ませた同社は過去最高益を計上し、営業マージンも健全な水準に戻った。カンタス航空とのジョイント・ベンチャーで格安航空会社のビジネスにまで参入を狙っている。アナリスト達によると同社のIPOは最大7千億円の資金調達になる見込みで、これは5月にIPOされたフェイスブック以来の大型案件である。しかし世界最大級の国際航空会社であるJALの蘇生に際し、大きな企業がつぶれた場合、国家がそれを救済すべきかどうか、そして若し救済するなら、どの程度、どのような手法で助けるのかという点について、喧々諤々の議論になっている。



この記事は株式の売出しの際によく見られる、ヨイショ的な書き方ではなく、その問題点を鋭く指摘しています。

その争点はJALが将来の利益に対する課税免除措置を受けている点にあります。記事によるとJALは45億ドル(=約3600億円)もの課税免除を認められています。

それは僕流に単純化した言い方をすれば「EPSが下駄を履いている」状態を作り出すわけです。なおEPSとは一株当り利益を指し、税引き後の利益を基に計算されます。

するとANAなどの他企業の立場からすれば、「えこひいきがあるから、競争にならない」という不満が出るわけです。

ニューヨーク・タイムズはそのような不公平な競争状態を日本政府が演出していることで:

ANAそのものだって、財政破たんの危機(financial brink)に追いやられる事態に陥らないとも限らない


というコメントを引用しています。

JALは、なるほど過去最高益を出しているのですが、本当の意味での体質改善が出来ているかと言えば、「高コスト体質はまだまだ改まっていない」という指摘もあります。

「普通ならある企業の倒産はより健全なライバル企業の参入余地を生む働きがあるが、日本では逆のことが起こった。JALは落第生でありつづけることで政府からご褒美を貰っている」


さて、記事の紹介はさておき、ここからは僕の感想ですが、JALの再生には「お人好し」なユーザーや投資家の度重なる犠牲に負う面が大きいと思います。その犠牲とは:

【一回目】JALが倒産したとき、株主に大損をかけた
【二回目】国民の血税を注ぎ込んだ
【三回目】将来の利益に対する課税免除措置(→その分の税負担はいずれ国民にしわ寄せが来る)
【四回目】今回、IPOで再び国民からお金を調達する

企業のファンダメンタルズを冷静に分析するのではなく、情緒と煽りに「乗せられやすい」国民性、これが競争力の無い企業がヌクヌクと生き延びられる理由です。

あ、書き忘れたけど、JALは社員への夏のボーナスを復活させるそうです。

グッドラック!