Blogosに『アメリカは「日本化」するのだろうか?』という記事がありました。
その中にアメリカが日本化する危険性を孕む理由として、日銀副総理の西村清彦さんとシカゴ大学のグールズビー教授がどちらもアメリカの高齢化を指摘しているとあります。
確かにアメリカは高齢化の途上にあり、大筋として「シルバー社会」へ向かっていることはその通りだと思います。
ただ日本とアメリカの共通点はそこで終わりで、人口動態統計を見ると、むしろ日本型なのは中国であり、アメリカは、かなり違うパターンになっていることがわかります。
まず、これが今日のアメリカの人口構成のグラフです。

少子化の動きはみられません。(下の日本のグラフと比較してください)
人口動態と経済を考える上で、特に重要なのは、その国民全体のうち最も人口の多い世代が、歴史的に色々な社会現象を作ってゆくということです。
例えば1965年には0歳から19歳までの層がアメリカで最も人口の多い層でした。このときはいろいろな子供文化が生まれました。ディズニーや67年のヒッピー文化がそれに相当します。
その後、ベトナム反戦運動が起こるわけです。しかし、その後、若者は就職し、家庭を持ち、マイホームを買いました。そしてその後に投資信託ブームが続くわけです。
所得のピークは45~50歳なのでこの層が増えると自然に全体の所得も上昇します。これが人口動態を投資の文脈で考える際、最も重要なファクターです。
またローンなどの借り入れの能力もこの層が最も余裕があります。金融サービス業が一大成長産業になった一因はここにあります。
さて、日本には団塊の世代という表現がありますが、日本の団塊の世代は1947年から1949年の3年間を指します。これに対して米国のベビーブームは1946年から1964年の19年間も続き、他のどの国のベビーブームより2倍以上期間が長かったです。

また学歴が高いほど出産率が高く、所得が高いほど出産率が高いという、極めて例外的な現象を呈しました。
『ベビー・ブーマー』という本によると、その背景には戦争の勝利感、結婚ブーム、経済的ブーム、GIビル(復員兵法)による大学への奨学金、住宅ローン補助など様々な特典があり、結婚した方が有利だし、郊外に一軒家を持ったほうが有利という状態があったからだそうです。
1946年に『スポック博士の育児書』という本が出版され、またたく間に400万部売れ、以降、毎年100万部以上売れるベストセラーになり、聖書の次に売れる本というあだ名がつきました。
ベビーブームの先頭を切ったのは1946年に生まれた人であり、この人たちは今ちょうど退職年齢である65歳に到達しています。これから401(k)を通じて購入された投資信託の取り崩しがおこることを僕が懸念しているのはそのためです。
いまアメリカのインデックス・ファンドをBuy & Holdする投資戦略は、この逆風を無視しているという点で、感心しません。
過去10年だけを抽出してアメリカの人口成長率を示したのが下のグラフです。

大体、0.8%から1%あたりで安定的に推移しているのがわかります。比較のために日本を赤で示しておきました。日本はどんどん人口成長率のマイナス幅が大きくなっていることに注目して下さい。
人口が減っている国では需要も減退するのでボンヤリしていると物価が下がりやすいです。
つまりデフレです。
その意味では日本は人口動態の面からデフレになりやすい体質だと言い直せるでしょう。
次に日本の年齢別人口構成のグラフを見ます。

まず一番人口が多いのは60~64歳のところであることがわかります。これが団塊の世代。いま彼らは63歳前後になっているはずです。日本では彼らが常にリードして、大きな社会現象を生み出してきました。学生運動で言えば東大安田講堂事件が起きたのは彼らが22歳のときということになります。
もうひとつこのグラフで目を引くのは最近の少子化のトレンドです。
その中にアメリカが日本化する危険性を孕む理由として、日銀副総理の西村清彦さんとシカゴ大学のグールズビー教授がどちらもアメリカの高齢化を指摘しているとあります。
確かにアメリカは高齢化の途上にあり、大筋として「シルバー社会」へ向かっていることはその通りだと思います。
ただ日本とアメリカの共通点はそこで終わりで、人口動態統計を見ると、むしろ日本型なのは中国であり、アメリカは、かなり違うパターンになっていることがわかります。
まず、これが今日のアメリカの人口構成のグラフです。

少子化の動きはみられません。(下の日本のグラフと比較してください)
人口動態と経済を考える上で、特に重要なのは、その国民全体のうち最も人口の多い世代が、歴史的に色々な社会現象を作ってゆくということです。
例えば1965年には0歳から19歳までの層がアメリカで最も人口の多い層でした。このときはいろいろな子供文化が生まれました。ディズニーや67年のヒッピー文化がそれに相当します。
その後、ベトナム反戦運動が起こるわけです。しかし、その後、若者は就職し、家庭を持ち、マイホームを買いました。そしてその後に投資信託ブームが続くわけです。
所得のピークは45~50歳なのでこの層が増えると自然に全体の所得も上昇します。これが人口動態を投資の文脈で考える際、最も重要なファクターです。
またローンなどの借り入れの能力もこの層が最も余裕があります。金融サービス業が一大成長産業になった一因はここにあります。
さて、日本には団塊の世代という表現がありますが、日本の団塊の世代は1947年から1949年の3年間を指します。これに対して米国のベビーブームは1946年から1964年の19年間も続き、他のどの国のベビーブームより2倍以上期間が長かったです。

また学歴が高いほど出産率が高く、所得が高いほど出産率が高いという、極めて例外的な現象を呈しました。
『ベビー・ブーマー』という本によると、その背景には戦争の勝利感、結婚ブーム、経済的ブーム、GIビル(復員兵法)による大学への奨学金、住宅ローン補助など様々な特典があり、結婚した方が有利だし、郊外に一軒家を持ったほうが有利という状態があったからだそうです。
1946年に『スポック博士の育児書』という本が出版され、またたく間に400万部売れ、以降、毎年100万部以上売れるベストセラーになり、聖書の次に売れる本というあだ名がつきました。
ベビーブームの先頭を切ったのは1946年に生まれた人であり、この人たちは今ちょうど退職年齢である65歳に到達しています。これから401(k)を通じて購入された投資信託の取り崩しがおこることを僕が懸念しているのはそのためです。
いまアメリカのインデックス・ファンドをBuy & Holdする投資戦略は、この逆風を無視しているという点で、感心しません。
過去10年だけを抽出してアメリカの人口成長率を示したのが下のグラフです。

大体、0.8%から1%あたりで安定的に推移しているのがわかります。比較のために日本を赤で示しておきました。日本はどんどん人口成長率のマイナス幅が大きくなっていることに注目して下さい。
人口が減っている国では需要も減退するのでボンヤリしていると物価が下がりやすいです。
つまりデフレです。
その意味では日本は人口動態の面からデフレになりやすい体質だと言い直せるでしょう。
次に日本の年齢別人口構成のグラフを見ます。

まず一番人口が多いのは60~64歳のところであることがわかります。これが団塊の世代。いま彼らは63歳前後になっているはずです。日本では彼らが常にリードして、大きな社会現象を生み出してきました。学生運動で言えば東大安田講堂事件が起きたのは彼らが22歳のときということになります。
もうひとつこのグラフで目を引くのは最近の少子化のトレンドです。
これは世界でも最も顕著です。
比較のために新興国のグラフもお見せします。先ずブラジルです。

ブラジルはパターンとしてはアメリカ型だけど34歳あたりを先頭としてフラット化しているといえます。アメリカよりもすくなくとも20歳若いです。
次にロシアのピークは54歳です。

最近少子化が激しいのは日本に似ています。でもプーチン首相の少子化対策などで出生率は上昇中です。
ロシアの場合、男女の人口比がとても乱れていますが、これは経済的、社会的にロシアが相当大きなストレスを受けてきた傷跡だと言えるでしょう。男性が早死にするのは、有り体に言えば「呑んだくれ」だからです。最も、この痛飲のライフスタイルは近年、大幅に改善しています。
次は中国です。

中国のピークは44歳で、日本より20年若いです。しかしグラフがダブルトップ型であること、ならびに少子化の進行と言う点では日本にとても近いカタチだと言って良いです。
次はインドです。

インドはピークがありません。強いて言えば14歳あたりです。また全体に若いです。
僕が以上の考察から導き出す、投資に際しての考慮点は、以下の通りです。
比較のために新興国のグラフもお見せします。先ずブラジルです。

ブラジルはパターンとしてはアメリカ型だけど34歳あたりを先頭としてフラット化しているといえます。アメリカよりもすくなくとも20歳若いです。
次にロシアのピークは54歳です。

最近少子化が激しいのは日本に似ています。でもプーチン首相の少子化対策などで出生率は上昇中です。
ロシアの場合、男女の人口比がとても乱れていますが、これは経済的、社会的にロシアが相当大きなストレスを受けてきた傷跡だと言えるでしょう。男性が早死にするのは、有り体に言えば「呑んだくれ」だからです。最も、この痛飲のライフスタイルは近年、大幅に改善しています。
次は中国です。

中国のピークは44歳で、日本より20年若いです。しかしグラフがダブルトップ型であること、ならびに少子化の進行と言う点では日本にとても近いカタチだと言って良いです。
次はインドです。

インドはピークがありません。強いて言えば14歳あたりです。また全体に若いです。
僕が以上の考察から導き出す、投資に際しての考慮点は、以下の通りです。
1.人口動態では中国は日本より20年遅れ
2.中国の年齢別の人口分布では40から44歳が最多層
3.これは中国がいま中年文化の真っただ中にいることを示唆
4.中年が消費をリードする経済では住宅、クルマ、高級品、金融サービスなどが栄える。
5.ブラジルは30から34歳が最多層
6.これは社会人になって間もない若者の文化=そこではビール、音楽、デート、アパート、自動車などが消費をけん引する。
7.インドでは14歳が最多層=この国は子供文化の真っ只中にある。有望商品はチョコレートなど