僕はインデックス・ファンドのファンです。

若し、皆さんの投資目的が「株価指数をなるべく正確にトレースすること」なのであれば、アクティブ・ファンドよりインデックス・ファンドを買う方が、遥かにその投資目的を実現しやすいと思います。

インデックス・ファンドは安上がりな投資方法でもあります。

僕は投資に際してはコスト・コンシャスでなくてはいけないと固く信じているので、その点でもインデックス・ファンドが文句なく、勝つと思います。

しかし、、、

僕の投資目的は「儲けること」であって、インデックスを正確にトレースすることや、インデックスに勝つことではありません。

運用環境が長期に渡って悪い時、ただインデックス・ファンドを抱いていても、「効率良く負けることができる」だけで、お金を増やすことには、なりません。

このへんのところを勘違いしている投資家が多いのには、呆れます。

僕が投資の世界に入った頃の話をします。

昔は証券会社の店頭に個人投資家が現れて、「日経ダウというのを、買いたいのですが……」と言うと、店舗の後ろの方で、証券レディや営業マンは「くすっ」と失笑したものです。

大体、そういうときは年長の営業マンが出てきて「お客さん、日経ダウと言う銘柄は、無いんですよ。株式市場の動きをかいたいのなら、ボロ(平和不動産)でも買っておけば?」とアドバイスしました。

ここで大事なのは、昔はそもそもインデックス自体を簡単に売り買いできるような商品が無かったという点です。

インデックス投資を礼賛する投資本の多くは、インデックス投資自体がラジカルな行為だった時代に書かれたから、意味があるのです

彼らは反体制派であり、既存秩序の転覆を目論む少数派でした。

ところが今日では、インデックス・ファンドやETFの類は掃いて捨てるほどあります。インデックス・ファンドは完全にメインストリームになっています。

むしろ今は、最も怠惰で、最も不勉強な素人が、インデックスを買って喜んでいる状況です。

投資って、そんなにカンタンな事ですかね?

そこで今日はマクロ経済のことや企業業績の話を横にどけておいて、単純に需給関係面からだけ、米国の投信業界の置かれた環境について語ります。

これを見ただけでも「兜の緒を締めてかからないとダメだぞ」ということがわかると思います。

米国では401(k)に代表される確定拠出型年金が普及するにつれて、投信の保有世帯数がどんどん伸びました。
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投信普及率もそれと同じように伸びました。
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しかし上のグラフからもわかるように、普及率はナチュラルな天井にさしかかっている印象があります。


これは「あとから、自分より愚鈍な投資家が続くだろうから、それにより相場が押し上げられる」という呑気な考え方がそろそろ通用しなくなることを示唆してないでしょうか?

運用資産の伸びも最近では鈍化しています。
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家計部門の投信購入のペースは鈍化しているように見えます。
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なお上の青の投信には債券型投信など株式型以外のものも含まれています。

401(k)の中に占める、投信の割合も、ナチュラルな「平原」を描き始めています。
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そのような環境下で、「今年は運用資産が増えた」という回答をした運用会社の数が50%を割り込むケースが散見されるようになっています。
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しばらく前に今後は米国でベビーブーマーが引退の年齢を迎えるので、投信の取り崩しが怖いという話をしました。

特に401(k)のような商品では、老齢になるほど株式組み入れ比率を落とすのが常識です。
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すると、今後は株式に長期にわたってアゲンストの風が吹くリスクがあるのです。

なお米国の投信市場は世界全体の49%を占め、最も大きな市場です。だから米国の投信市場の飽和は世界的に影響を与えます。