中国経済の減速はオーストラリア経済に暗い影を落としています。

先ず中国経済の変調について確認したいのですが下は長期の上海総合指数のチャートです。典型的なバブル崩壊のチャートをしています。
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最近の部分を拡大したのが次のチャートです。
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経済の規模に比べて、国債、株式、民間部門の信用のそれぞれの市場規模がどのくらい大きいかを示したのが下のグラフです。
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日本の場合は経済の規模に比べて国債(JGB)が占める割合が大きいけれど、中国の場合は民間部門の信用が占める割合が大きいことがわかります。

それは言葉を変えて言えば、今後の中国経済の行方を占う上で注目しなければいけないのはこの緑の部分だということです。

そこで中国に於ける融資構造を見ると下の赤の部分に代表される、信託商品の比重が高いことが注目されます。この部分は中国の銀行のバランスシートに記載されていない、「飛ばし」融資です。
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利回りを「握った」これらの商品がロールオーバー(借り換え)されているうちは問題はありませんが、何かの理由でロールオーバー出来なくなると問題が表面化する恐れがあります。

さて、オーストラリアは中国の建設ブームの恩恵をフルに享受してきました。特に石炭と鉄鉱石のコスト競争力が強かったことで、2000年代の半ばからそれらの素材の輸出が好調でした。それが同国の交易条件に大変有利に働きました。
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好景気はオーストラリアに不動産ブームをもたらしました。堅調な不動産価格を背景に同セクターに対する融資も順調に伸びました。
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家計における住宅コストの負担の増加が特に近年顕著だったことがわかります。
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家計部門の負担増を示したのが下のグラフです。
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最近の世界的な不景気を受けてオーストラリア準備銀行は緩和的なスタンスを取っています。
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これを受けて足下の消費者センチメントはまずまずです。
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総括すれば現在までのところオーストラリア経済に破綻は見られません。しかし中国経済が急激に減速した場合(=そうなると決まったわけでは、ありません)オーストラリア経済に対する影響を覚悟した方が良いと思います。

なおオーストラリア経済に対する強気派は:

1.オーストラリアは鉄鉱石などの重要な輸出品目で、ブラジルなどより圧倒的にコスト優位の立場にある
2.LNG開発などの大型プロジェクトの恩恵を受ける
3.中国から資本逃避が起こった場合、資本の流入先になると考えられる

などの点を指摘しています。