このところ連日領土問題がマスコミを賑わしています。

僕は軍事評論家ではないので、あくまでも経済を見ている人という立場から意見します。

最近の極東における領土問題を巡るテンションの高まりは、ひとつには世界的な不景気が関係しているのではないでしょうか?

中国経済がおかしなことになっている件については、Market Hackでも何度も書いてきましたが、景気が悪くなり、民心がささくれてきた国のやる常套手段は外敵を創り、国民の不満をそちらへ向ける(diversion)というやり方です。

これは過去に実にいろいろな国が行っています。

たとえば1900年代初頭にロシアが不景気になり、労働紛争が頻発し、国全体が社会不安につつまれた際、ロシアの内務大臣は「いま我が国に必要なのは、国民のキモチをそらす、都合のいい戦争だ」と主張しました。そういう軽い気持ちから日露戦争へ入って行ったわけです。

国家の危機、それをもたらす国民の共通の敵ほど、民心をひとつにまとめるのに都合のよい事はありません

ドイツはつながりの緩い連邦国家で民心をひとつに纏めるのは容易ではありませんでしたが、ビスマルクは外敵の存在をアピールすることでそれを実現しました。

近年の目覚ましい経済成長で中国の軍備はどんどん拡張されました。アメリカでは近年の極東に於ける軍備への投資額の増加は、まるで第一次大戦にいたる建艦競争を彷彿とさせるという議論がされています。
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人間、銃器を持つとただそれを飾っておくだけでなく、使ってみたくなるものです。

アントン・チェーホフ曰く;

若し第1幕で舞台の壁に銃が掛かっているのであれば、第2幕か第3幕になるまでには、その銃がぶっ放されるべきだ。そうでなければ、そもそもその銃はそこに掛けておくべきではない
If you say in the first chapter that there is a rifle hanging on the wall, in the second or third chapter it absolutely must go off. If it’s not going to be fired, it shouldn’t be hanging there.


いま我々が気をつけないといけないのは、不景気で溜まった国民のウップンを晴らすという軽い気持ちで対立がエスカレートすることです。

クールな頭で冷静に物事を考えるべき時だと思います。