ピュー・リサーチセンターが「中流の失われた10年」と題する、社会および人口動態に関する新しい調査報告書を出しました。

それによると2000年以降、米国の中流(Middle class)は規模的に縮小しただけでなく、年収、財産、将来に対する希望という面でそれぞれ減少したことが明らかにされています。

ミドルティア(Middle-Tier)の年間家計収入は2000年の約7.3万ドルから2010年には6.95万ドルへと減少しました。さらに純資産も2001年の約13万ドルから2010年には9.3万ドルへと減少しました。中流に属するアンケート調査回答者のうち、実に85%が今の生活水準を維持することがより困難になったと回答しています。

この報告書の中で特に興味深いのは1950年代以降の10年毎に、米国の所得階層別の家計収入が年率何%で成長したかを分析したグラフです。なお第1五分位は最も所得が低く、第5五分位は高所得者を指します。

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これを見るとアメリカで最も裕福なTop5%の収入の成長率は1970年代まではむしろ平均を下回っていました。

ところが1980年代に入ってからはダントツで他を引き離し始めたのです。

これは当然、アメリカの株式ブームの到来と関係があります。それからリッチ層に対する税金面などでの優遇策も影響しています。

政治との絡みで言えば1980年代はレーガン大統領が登場した時代に相当します。
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レーガンは1980年の大統領選挙でカーターに圧勝し、二期大統領をつとめて、ブッシュ大統領にバトンタッチします。これが共和党の黄金時代だったわけです。

その後、アメリカはビル・クリントンの登場で民主党の時代になるわけですが、折からのドットコム・ブームで「金持ちがより一層、金持ちになる」構図が継続します。

面白いのは、今回のピュー・リサーチセンターの聞き取り調査の中で、「どちらの大統領の政策の方があなたにとって助かりますか?」という質問に対して、裕福層の71%がミット・ロムニー候補の方が良いと答え、オバマの38%を大きく引き離している点です。

つまり裕福な有権者は経験的に共和党の方がリッチ層を優遇するという学習効果をまだ忘れていないということだと思います。