ウォールストリート・ジャーナルのリズ・ラパポートによるとゴールドマン・サックスがジュニア・アナリスト養成プログラムの廃止を決めました。

同社のジュニア・アナリスト養成プログラムは主に四年制大学を卒業した新卒を対象としたプログラムでした。その概要は、二年間、「アナリストの見習い」のようなカタチでそれらの学生を雇い、一日17時間、土日も休みなくこき使って、わざと使い潰し、そのシゴキに耐えた若者だけが、アナリストへの道を歩むというものです。ご褒美として二年の期間が終了するとコース終了ボーナスが出ます。

このプログラムはそう書くと非人道的で酷いという印象を与えますが、同様のシゴキはメディカル・スクールに通うお医者さんの卵にも科せられるし、コンサルティング会社でもあるし、一流の法律事務所でもあります。だからゴールドマンだけが特別というわけでは、ありません。

むしろゴールドマンのこのプログラムはコンサルティング会社の新人育成プログラムを参考にした、ないしはそれに対抗するものとして作られた印象があります。


しかし最近ではこのプログラムは上手く機能していませんでした。

先ずアナリストの地位自体がゴールドマンの社内で大幅な地盤沈下を起こしたということが指摘できるでしょう。ゴールドマンの調査部はウォール街では二流に成り下がっており、それは意図的な企業戦略です。なぜなら同社は調査部を「コスト・センターだ」と位置付けているからです。

アナリスト・プログラムを終了しても、上にあがってゆくだけのポストが不足しているわけです。

次にゴールドマンでは最近の業績不振でマネージング・ディレクターですらボーナスが大幅にカットされています。その環境の中で、殆ど売上高に貢献しないジュニア・アナリストだけにボーナスをギャランティーすることは社内的に抵抗がある点も指摘されています。

また二年のプログラムを満了し、ボーナスを貰うと、MBAやヘッジファンドなど、次のキャリア形成に転身する若者が多く、折角、仕事のやり方を仕込んでも、定着率が悪いという問題が出ています。
このところの不況でこの手の大卒の若手の養成プログラムは別に投資銀行だけでなく、著名法律事務所などでも大きなプレッシャーに晒されています。

また不況で「どこへも行けない」わけですから、ボーナスのギャランティーを廃止しても、だからといってゴールドマンを志望する学生が減るというわけでもないと思います。つまりこれまでは期間限定の「しのぎ」だったのが、無期限、ご褒美ナシの「しのぎ」に変わっただけということ。