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週末の『バロンズ』のカバー・ストーリーはフェイスブック(ティッカー:FB)です。
「Facebookの株価は15ドルまで下がる」と、かなりストレートな事を書いています。この記事を書いた記者はアンドリュー・バリーで、『バロンズ』の記者の中では比較的マトモな奴です。

同記事は最近、ネットユーザーがデスクトップからモバイルに行動様式を変えており、このモバイルへのシフトがフェイスブックにとってアゲンストの風になっていると指摘しています。

モバイルへのシフトのトレンドは今後も定着するだろうとバロンズは主張しています。(この点については僕も100%賛成です)

同記事はiPhone、iPad、Androidなどのデバイスではアプリのビジネスをアップル(ティッカー:AAPL)やグーグル(ティッカー:GOOG)が支配しているので、フェイスブックがモバイル広告を最適化することが難しいと指摘しています。

(補足すると、フェイスブックの売上高の85%は広告収入で、その大半はデスクトップPCから上がっています。モバイル広告は単価もデスクトップ広告より安いし、クリックスルー比率も悪いです。このためモバイルへのシフトが進めば進むほど、目先的なフェイスブックの業績は圧迫を受けるわけです)

同記事は今後、ロックアップ期間(IPOの際、既存株主が一定期間、場で株を処分しないことに合意すること)が終わると新しい売り圧力が出て来ると指摘しています。具体的には10月29日以降、2.34億株がロックアップ明けを迎え、さらに11月14日に7.77億株が売却可能となります。現在のフェイスブック株のフリーフロート(流通株)は6.92億株です。

これらの事から『バロンズ』は「フェイスブック株はぜったい買うな(Stay away)」と言っています。

さて、ここからは僕の意見ですが、先ずマーク・ザッカーバーグはIPOに前後して、徹底的に一般株主を馬鹿にした態度を示した(例:IPOの値決めをしておいて、すぐに結婚式を挙げ、イタリアにハネムーンに行ってしまった)ことで自らウォール街への心証を悪くした面があると思います。言い換えれば、未だウォール街からの信頼を獲得(to earn)する前に、「黙って、俺についてこい!」式のオーラを出してしまったということです。

ネット企業の経営者にはこの手の経営者も少なくありません。アマゾンのベゾスと株主との関係は、IPO当初からギクシャクしたものでしたし、スティーブ・ジョブズだって若い頃はずいぶん株主と衝突(antagonistic)を繰り返しました。だからザッカーバーグが高飛車な事自体、僕は別に悪いとは思いません。

でも決算の数字だけは、きっちり耳を揃えて、出して欲しい。

若い企業が投資家からの信頼を獲得する方法は、たったひとつしか、ありません。それは決算発表の度に、EPSの面、売上高の面、ガイダンスの面、それらすべてに於いて市場予想を上回る……これを毎回、何度でも繰り返す……ただそれだけです。

これが上場会社が市場に対してI love you.と「愛の告白」をする唯一の方法であり、毎回、この三つのポイント(EPS、売上高、ガイダンス)で市場予想をパーフェクトに上回ることが出来れば、どんなガマガエルみたいな醜い奴でもお姫様(=投資家)のハートを射抜くことが出来るのです。

モバイル広告がダメだという認識に関しては、確かにそうだけれど、極めて近視眼的な見方だと思います。なぜなら(これはグルーポンのアンドリュー・メイソンもインタビューで答えていたことですが)本来、スマホとローカル広告というのはとても親和性の高い組み合わせだからです。

お昼休みの時間に近所のモールで「きょうは何を食べようかな?」と思った時、「今日のスペシャル」がすぐにわかれば、それは強力なプロモーションになります。つまり僕が言いたいのは:

1.店主は有効な販促のツールにホトホト困っている(=広告主側のニーズ大)
2.ローカル広告市場はバカでかい
3.スマホこそがローカル広告に最適なメディアである

という事です。ただ、今はどの企業もこの潜在性に満ちた市場をunlockする鍵を発見できずにいるだけです。

人間は本や洋服などの物品を買います。でもそれと同じくらい外食し、散髪し、ヨガのクラスに通い、ネイルサロンに行くなどの、サービスを購入します。それらの「サービス」の大半はローカル広告の範疇に入ります。

今、ローカル広告の置かれたoperating environmentを見ると、スマホも十分に普及してきたし、ロケーション・ベースのサービスやプロモーション・サイトやペイメント・ソリューションもかなり充実してきました。つまりローカル広告を展開するのに必要な条件は、充分なサチュレーションを見ているわけです。それはとりもなおさず、誰かがこのパズルを解く瞬間が、近くなっていることを意味するのです。

そのパズルを誰かが解いた瞬間にモバイル広告に対する投資家の見方や評価は激変すると思います。