南ア経済が危機的状況になっています。

事の発端は金鉱やプラチナ鉱山の労働者のストライキです。

Market Hackの読者なら、南アには多くの老舗の産金会社があり、その多くは露天掘りではなく、地中深くに掘り進む、所謂、縦鉱の鉱山であることはよくご存知だと思います。

これらの鉱山は労働条件が過酷だし、コスト高です。従って産金各社は何とか黒字を出すために鉱山労働者の賃金を低く抑えてきました。

しかしそれに対して労働者の不満が鬱積し、手のつけられない労働争議が色々な鉱山で同時発生中です。

ストライキは鉱山だけでなくガソリン・スタンドや港湾労働者、鉄道労働者にまで広がる様相を呈しており、南アの輸出は機能不全に陥ろうとしています。

南アはGDPの4.6%程度の財政赤字を抱えていますが、主力鉱山が操業停止に追い込まれているため、税収の見通しは急に暗転しています。

10月24日に政府は中間予算を発表する予定ですが、赤字幅の拡大が発表される危険性が高まっています。



これを受けて格付け機関は南アに対し、加速度的にネガティブな見方をしています。

ムーディーズは9月27日付けで南アの格付けを一段階引き下げ、Baa1としました。またスタンダード&プアーズもアウトルックをネガティブとしており、南アの見通しに対して用心深いコメントをしています。

なお、南アの格付けがダウングレードされるのはアパルトヘイト政策終了後初めての事だと思います。

南アの国債や南アの通貨、ランドは、これを受けて急落しています。

ストの長期化は貿易赤字の拡大やインフレの激化などの複合作用をもたらします。

南アの国債は最近、シティグループのワールド・ガバメント・ボンド・インデックス(WGBI)に採用されたばかりですが、指数に組み入れられることのメリットは、ストライキ騒ぎで完全に帳消しになっています。

なお外人投資家は年初来100億ドル近いランドを買い越しており、ランド急落時には投資資金が逆流するリスクも大きいと言われています。いまのところトレードの主体はCTAやコンピュータ・トレーディングなどの目先筋が多く、個人投資家の資金は未だ逃げていないと言われています。