【これまでに議論したこと】
年金受取開始年齢の順次引き上げは世界的潮流。
高齢者をちゃんと雇用する環境が整備されなければ、職は無いのに年金も受け取れないというダメダメ状態が来る。
先見の明がある人は生活防衛のためのファンドを準備しはじめている。
団塊の世代による、最近のネット証券口座開設ブームは、その現れ。
将来の不安に備える「生活防衛ファンド」である以上、毎月分配型投信みたいに、お金を預けた先から、どんどん取り崩しが始まる、アフォな設計になっている投信はアウト。
60歳の「Xデー」までに、なるべく手堅く、お金を増やしたいということだから、自ずと運用戦略も限られる。
大きな失敗が出来ない以上、ホームランを狙わず、適度な分散投資を心掛けるべき。
10銘柄への分散を目標に。投資対象国を分散。
日本株は全体の4分の1以内に抑える。
「大きく負けない」ことが重要。
ほどほどのインカム・ゲインがある投資対象がベスト。但し、利回りは高すぎないことが重要。
低コストの投資対象を選ぶことも重要なので、証券会社や投信会社が提案してくる諸々の投資機会も、無視。
ただ安いという理由でターンアラウンドできるかどうかもわからない国や企業に投資しては駄目。
フツーにこつこつ日々の業務をこなすだけで、自然にキャッシュフローが伸びてゆくような会社(エロ・ディフェンシブ=保守的だけど、チョッと色気のある銘柄)を買う事。


【買うべき銘柄のイメージ】
さて、今日は「それじゃ、一体、何処を見て、買うべき銘柄を選ぶの?」という話に入ってゆきたいと思います。

僕が「エロ・ディフェンシブ」な銘柄を選ぶ時のチェックポイントをブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ティッカー:BTI)を使って説明します。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコはロンドンに本社のあるたばこ会社です。同社は「Benson & Hedges」、「Lucky Strike」、「Dunhill」などのブランドを展開しています。

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同社の売上高は世界中にきれいに分散しています。強いて言えば新興国に強いです。

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さて、実際にエロ・ディフェンシブ銘柄を選ぶ際、僕が最初に注意することは、まず売上高に対してちゃんと健全なキャッシュフローを生んでいるか(1)です。

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BTIの場合:

CFPS÷SPS=25%


程度の数字がコンスタントに出ています。なおCFPSは一株当りキャッシュフロー、SPSは一株当り売上高です。

次にCFPSは、毎年、コンスタントに伸びている(2)のが好ましいです。BTIの場合、2010年から2011年にかけて、ダウンイヤーがありましたが、まあこれ一回程度なら許せます。

因みに同社の過去10年間の年率平均キャッシュフロー成長率は13%でした。これは立派なペースだと思います。

CFPSとEPSの関係で気を付けないといけないことは1年でもEPS>CFPSになっている年がある銘柄は、その時点で落第だということです。なぜならEPS>CFPSになっている企業はアグレッシブ(むこうみず)な会計方針を採っており、利益を過大に報告しているリスクがあるからです。

僕の場合、(2)で見たように、CFPSがスムーズに伸びていることは大変重視しますが、EPSが綺麗に均されて、成長しているかどうかには、余り重点を置きません。なぜならEPSの粉飾はどの上場企業も腐心するポイントであり、また操作も比較的カンタンだからです。これに対してCFPSはウソがつきにくいです。

次のポイントはEPSとDPSの関係(3)です。DPSは一株当り配当です。EPS-DPSの差は、ザックリとメリハリが付いている方が良いです。理想的には50%から70%程度の「のりしろ」が良いと思います。

それはどうしてかといえば、既にEPSの50%以上を配当に回している企業の場合、配当性向を引き上げることによる増配は、期待しにくいからです。BTIの場合、利益の60%以上を配当に回しています。従って、増配は主にEPS成長によってもたらされています。これはタバコという、比較的ディフェンシブな業種であることを考えるとムリの無い水準と言えます。

逆にEPSに対してDPSが低すぎる企業は株主還元に対する経営陣の姿勢に問題がある企業であるリスクがあります。或いは経営陣が今後のEPSの維持に関して自信を持てない場合、配当を引き上げるのを嫌がる傾向があります。

現在のBTIの配当利回りは4%ですが、この利回りだけに注目するのではなく、過去10年にDPSがどう成長してきたかにも注目して下さい。BTIの場合、過去10年間のDPSは年率16%で成長してきました。

これはDPS成長率がEPS(15.5%)やCFPS(13%)の成長率より速いペースだったということです。それは配当性向(=利益のどれだけを配当に回すか)がじりじり上昇してきたことを意味します。

配当性向が向上しはじめの企業は株価評価が「一皮むける」場合も多いですが、BTIのように配当性向の向上が何年も続き、一巡しそうな企業は注意する必要があります。