昨日の米国大統領選挙でオバマ大統領の再選が決まりました。

「ビジネスで成功した男」であるミット・ロムニーが、勝てなかったのは、なぜでしょう?

これは僕の勝手な意見ですが「どうやって雇用創出してゆくのか?」という問題に関して有権者のだれもがハラオチするような、明快なロードマップを、ミット・ロムニーは結局最後まで示す事が出来なかった……だから負けたのだと思います。

なるほど、彼はベイン・キャピタルというプライベート・エクイティ・ファンドを立ち上げ、おカネ儲けしました。でも、それと雇用創出とは、ちょっと違う。

プライベート・エクイティ・ファンドは究極的にはタックス・アービトラージと呼ばれる税法上の有利さ、ないしは抜け穴をフルに活用する投資スタイルに帰着します。

乱暴過ぎる言い方だけど「現代の税法では安値放置されている株を借金(レバレッジ)を使って買い叩き、その会社に負債をドカンと背負込ませ、従業員を解雇して、スリムな体になったところでIPOすれば、株式公開益がウハウハだよね」というわけ。

その意味では『金持ち父さん』のアプローチに、相通じるものがある。つまり金持ち父さんは「住宅ローンの金利の支払いコストは所得から控除される」という税法上の住宅投資の有利さを庶民が皆、知っており、言わば「貧乏人のタックス・アービトラージ」のような住宅ブームが起こっていた……皆が住宅を買うものだから、住宅の価格は騰がり続ける……だから利殖で住宅投資して、自分も大家さんにならないと、損だ!

そういう着眼点なわけです。

投資というのは今、目の前に転がっているチャンスをモノにすることに他ならないわけだから、それ自体、別に批判する気は僕にはありません。

でも『金持ち父さん』のやり方は「住宅価格は永遠に上がり続けるから、デカいキャピタル・ロスを蒙る心配は、ない」ということを大前提にしている点で脆弱性があった。

(なるほど、住宅価格って、下がることもあるんだね)

そういう認識が世間に広まった時点で、キヨサキ流投資ストラテジーはオワコンになっちゃった(笑)

で、プライベート・エクイティも「儲け方の構造」はちょっと違うけれども、「もうどんどん負債を背負込むような時代じゃないよね」という認識が世間に広まっているという点では、オワコンの投資ストラテジーなのです。


大体、プライベート・エクイティのオッサンにアントレプレナー的な知見を期待する事自体が、間違っている。

これが、ベンチャー・キャピタリストのフレッド・ウィルソンを大統領にしろ!と言うのなら、話は別ですよ。VCなら、確かに新しい雇用の創出に普段からどっぷり関わっているでしょう。でもプライベート・エクイティが雇用創出のエンジンだなんて……議論がムリ杉(笑)

僕は別にミット・ロムニーを嫌っているとか、そういうんじゃありません。ただ今の米国経済の置かれた環境というのは、誰がやってもカンタンには解決しない。

その意味ではオバマ大統領が再選されても(ヤレヤレ、あと四年オバマか)という倦怠を、覚えないわけにはゆきません。

大恐慌の救世主として「最初の100日間」で華々しい改革を断行したフランクリン・ルーズベルト大統領が1937年に第二期目を開始した時と、今のオバマニ期目のイメージはダブる部分が多いです。

一期目の国民の期待と興奮は褪せ、遅々として改善しない経済に対する諦観と絶望が当時は広まっていました。その年、失業率は20%を超え、株式市場は-32.8%でした。また世界的な経済の停滞からヨーロッパでは第二次世界大戦の前哨戦とも言えるスペイン内戦が、そしてアジアでは盧溝橋事件が起きているわけです。

ダークですぜ、未来は。

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