ありゃま、こらいかんわ。

去年、ヒューレット・パッカード(ティッカー:HPQ)が110億ドルで買収したイギリスのソフトウェア会社、オートノミーが、ずっと帳簿をごまかしてきたことが発覚しました。

その手口は「会計学のシャーロック・ホームズ」のあだ名を取るハワード・シリット先生を喜ばせるような、オイシイ手口に溢れています。

先ずオートノミーは身売り先を静かに探していました。

なるべく高い値段で自分の会社を売りたいわけですから、M&Aの商談が成立するまでは売上高や利益のモメンタムを維持する必要があります。

そこでオートノミーは常套手段過ぎて、或る意味、陳腐とすら言えるトリックを使います。それはサーバなどのハードウェアを販売した際、それをソフトウェアの売上にチャンポンにして計上したのです。


通常、ソフトウェアの方がハードウェアより利幅が大きいので、投資家はソフトウェアの売上比率が大きい事を好みます。

そのサーバは原価より10%も安い、言わば「出血サービス料金」で顧客に渡していたのですが、そこから発生する損は「マーケティング費用」という項目から落とされていたのです。

自分でサーバを買うよりオートノミーからバンドル(ソフトウェア+ハードウェアの抱き合わせ)で買った方が安いと知れば、普通の顧客なら割安の方を、選びますよね?

身売り前に売上モメンタムを落とさないためにオートノミーはこの抱き合わせ商法をどんどん拡大し、それが原因でマーケティング費用は雪だるま式に増えました。

またオートノミーはリセラー(VAR)を経由してその製品を販売していたのですが、実際にはこの中間業者が「売った」と報告した最終顧客は、存在しなかったという事例も報告されています。

さらにオートノミーはライセンシング売上を、実際に入金がある前に既に売った事にして前倒しに計上していたことも判明しました。

これらのやり口は、いずれも古典的な粉飾のテクです。

驚くのはオートノミーはFTSE100にも採用されている上場企業だったということです。一体、監査会社のデロイトは、なにをやっていたのでしょうね(笑)

実際に嵩上げされて報告された売上高は2億ドル程度だという報道もありますが、それで買収代金の約8割に相当する90億ドルもの損金計上をしたということは、そもそもヒューレットがオートノミーを買収したときに提示した価格が高すぎたということだと思います。おひとよし。