大学の授業料ならびに寮などの関連費用は、アメリカの消費者にとって最も激しいインフレを経験している支出項目です。

カレッジ・ボードによると2000年から2010年の10年間に公立の四年制大学の授業料ならびにフィーは72%も上昇しました。これは年率に換算すると約5.6%です。これは公立大学のケースですが、私学でも事情は同じだと思います。

一方、同じ期間、学士卒の25~34歳の会社員の実質平均年収は-14.7%でした。これは年率に換算すると-1.6%でした。

授業料がどんどん値上がりする一方で給料は上がらないため、授業料対給与比率(Average tuition as a percentage of median earnings)は2001年の23.2%から2010年には37.7%へと上昇しています。つまり家計への負担が急増しているわけです。

スターリング・パートナーズとベイン&カンパニーの共同調査によると、大学の授業料ならびに寮などの関連費用がインフレより2倍以上のペースで急騰した原因は、大学教授などの直接教育に携わる人々の給与の増加(過去5年で+4.8%)というよりもハコモノのコスト増(+6.6%)にあるそうです。

有名私大に関して、過去5年間にどれだけ費用比率が上昇したかを示したのが下のグラフです。左に行けば行くほど、放埓な経営をしていると言えます。
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次に過去5年にエクイティー比率がどれだけ悪化したかを示します。左に行けば行くほど、バランスシートの劣化が激しいと読みます。
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大学によっては潤沢な寄付金があるので、少々贅沢をして、散財しても経営に余り響かないところもあります。左に行けば行くほど、太っ腹なシュガー・ダディに恵まれていない、ビンボーな大学ということになります。
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