ドイツDAX指数がリーマンショック後の高値である7,600に迫り、新波動に入りそうな雲行きになっています。

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ドイツのGDPへの貢献度を見ると、来年以降は内需が大きな役割を果たす事が期待されています。その一方でお得意の輸出の成長への貢献度はほぼゼロになります。

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実績としての欧州各国の輸出パフォーマンスを示したのが下のグラフです。当然ドイツが良いわけですが、改善は頭打ちになると見られています。

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ドイツはこれまで賃金の上昇が意図的に押さえられてきました。これは東西ドイツ統合の直後、国内の雇用ならびに生産力の維持を守るため、ドイツの労使が「当分、賃上げなし」に合意したためです。

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その関係もありドイツの足元の消費は弱々しかったです。

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しかし最近になって中国におけるドイツ製品の売れ行きに陰りが見えてきたので、ドイツの生産キャパシティが余りそうな雲行きになっています。誰かが中国からの需要減退の「たるみ」を補う必要がある。それはドイツの消費者にもっと頑張ってもらうことを意味します。

強力な労働組合であるIGメタルが賃金のベースアップに合意したのは、そのためです。

下のグラフは欧州の失業率です。ドイツは東西ドイツ統合以来、最も失業率が低い水準にあります。その半面、欧州の失業率は過去最高です。

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つまりドイツ国民は歴史的な低失業率を享受しており、しかも賃金は上昇し始めているわけです。また市中金利も歴史的な低水準です。それはミニ消費ブームが起きやすい、いや、「起こってもらわなければ、困る」という環境になっていることを示唆しています。

DAX指数の新値というのは、このようなユニークな環境の中で達成されようとしているわけです。

PS. 中国をはじめとする新興国の台頭で、生産拠点はどんどんアジアに移り、先進国は空洞化が避けられない……このような議論はアメリカや日本では当然かつ不可避の事として論じられています。しかし、ドイツには空洞化という議論は、無い。国内の雇用や生産力を守るため、政府と企業と労働者が「三極合意」した結果です。製造業における雇用は、一度新興国に奪われてしまうと取り返すことは大変困難です。それをよく理解したドイツの(€を介した)弱い通貨政策には、見習うべきものが多いです。