新興国投資に際して投資家が考慮しなければいけないことは、沢山あります。ただ全ての出発点は輸出にあると僕は考えています。

輸出は、その国の国際競争力を測る最もシンプルなモノサシです。輸出がしっかりしている国は競争力があるし、外貨さえ稼げればいろいろな事が上手く回ってゆきます。

「色白は七難隠す」なんて表現がありますが、新興国にとって輸出が強いということはとてもパワフルな長所なのです。

輸出が輸入より多ければ貿易黒字になります。黒字が積み上がれば外貨準備が厚くなります。それは通貨危機が起こりにくくなることを意味し、国債を発行するときの調達コストは下がります。金利コストが下がれば借金の返済に四苦八苦しなくて良くなるわけです。これが好循環の構図です。

逆にパワフルな輸出アイテムが無い国は貿易赤字体質になりやすく、収支の帳尻を合わせるために気まぐれな外部の投資資金に依存する度合いが高まります。そのような逃げ足の速い資金は外準が減ればすぐにソワソワするし、国債の金利も上昇します。通貨が急落する局面では輸入品の価格が急騰するのでハイパー・インフレになってしまう国もあります。これが悪循環の構図です。

だから新興国投資を考える際、真っ先に投資家が考慮すべきことは「この国は他のどんな国も真似できない必殺技輸出アイテムを持っているか?」という事なのです。加工輸出型経済の大成功の例は言うまでも無く中国でしょう。その他、ロシアなら天然ガスや石油があるし、ブラジルなら大豆やパルプや鉄鉱石、インドならITアウトソーシング、バングラデシュなら衣料品といった具合です。


理想的には輸出額が輸入額を大きく凌駕しているのが好ましいです。
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僕が経常収支よりも先ず貿易収支を見る理由は、一切のホットマネーを除外した、その国の「稼ぐ力」がそこに現れているからです。

もちろん全ての国が最初から「稼げる国」になれるわけではありません。ガンガン輸出できるようになるためには先ずインフラを整備するなどの下準備が必要となる場合もあります。国内にインフラ整備をする際に必要となる産業基盤が無い国はブルドーザーや港湾クレーンや紡績機械などを先ず輸入しなければいけません。従って先行投資モードの国は往々にして輸入超過になるのです。輸入の中身を見て、ちゃんと機械やインフラ関連のアイテムを買っているならOK。半面、消費財などチャラチャラした品目が目立つようだったら、そんな国はダメです。