アメリカがコンスタントに+2%程度のGDP成長率を出せる見通しになっている一方で、ユーロ圏のGDP成長率は2013年もゼロに限りなく近い辺りをウロウロすると見られています。

普通ならこれはユーロ安要因です。なぜなら欧州中央銀行は一段と踏み込んだ緩和をする必要があるからです。

しかし……

ユーロは意外にしっかりとしています。これはどうしてなのでしょうか?

ひとつにはマリオ・ドラギ総裁が「いまは一段の緩和をするつもりはない」という意味の事を言っているからです。

11月のユーロ圏の消費者物価指数は+2.2%とヨーロッパにしては低い伸びにとどまりました。それは緩和余地が大きいことを意味します。それにも関わらず、ECBが様子見している理由はドイツ国内における賃金交渉の先行きを見極めたいという事があるからです。

ドイツでは今、経済政策の焦点をこれまでの輸出一本槍から内需にシフトしようとしています。

その理由は輸出だけではヨーロッパ全体をリセッションから引っ張り出せるほどの成長が得られないという認識が広がっているからです。

ドイツは長年、賃金を低く抑えてきたため、輸出競争力には問題はありません。しかしベースアップが無い状態が長年続いた事が、ドイツの消費を弱くしてきたのです。これは経済の実力に比べて庶民が無節操にお金を使い過ぎたスペインやギリシャとは対照的な構図です。

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だからスペインやギリシャでは賃金カットなどを含めた競争力回復措置(=これはインターナル・デバリュエーションといいます)を今、経験しているわけです。ドイツではそれとは逆に低すぎる賃金を上方修正する力が働いているのです。

先日紹介した、公務員労組ベルディの+6.5%の賃金ベースアップ提案は、そのような文脈の中から浮上した議論なのです。