「財政の崖」問題がギリギリのところに来ています。

現地金曜日の夜(日本は土曜日)上院のハリー・リード院内総務(民主党)とミッチ・マコネル院内総務(共和党)が「しょうがないから、オレ達で妥協案を考えよう」という了解に至りました。

これは(オレ達にお鉢が回ってきた…)ということの、是認に過ぎません。

本来であれば下院のベイナー議長の「プランB(代替案)」が頓挫したときに、速やかに上院が妥協案の策定に入るべきだったのですが、愚図愚図して貴重な時間を失ったわけです。オバマ大統領から「おまいら、いいかげん仕事しろ!」と叱られて、ようやく重い腰をあげたというわけです。

一方、下院のベイナー議長は「おまえは皆からシカトされているから、もう切り捨てる」と言われてしまいました。後は上院案が若しまとまり、それが上院で可決された場合、下院に回されてきた評決にYES、NOの意思表示をするだけ……。

リード院内総務とマコネル院内総務がまとめ上げる妥協案は、その場しのぎの絆創膏的な措置に過ぎないので、増税ならびに歳出削減のマジな議論は、来年に持ち越される公算が大になりました。たとえば2月には連邦政府の債務上限の引き上げの期限が来てしまうと予想されています。すると下院はまたそれを討議しなければいけないのです。

その一方で下院共和党が去年発動された約一千億ドルにのぼる防衛費などの自動歳出削減をキャンセルすることに同意するとは考えにくく、「財政の崖」を巡る話し合いは「残尿感」の残る、ダラダラしたものになる可能性が高いです。

市場参加者は(最悪、崖から落ちるのなら、いっそひと思いにぶっ殺して欲しい)と願っています。なぜならその方がアク抜けが早いからです。それにいろいろなプログラムが期間満了や債務上限到達というトリガーによって自動停止するのは、財政規律の面から考えると所期の意匠通りにシステムが機能していることに他ならないわけですから、むしろ健全だという見方すら出来るわけです。

不透明感を残し、しかも債務上限の規律を守らないというのであれば、今度こそ格付け機関は米国の長期ソブリン格付けに対して厳しい態度を打ち出してこないとも限りません。