さてひとつ前のエントリーではジャック・ケルアックが『路上(オン・ザ・ロード)』を書いた経緯について説明しました。

一方のアレン・ギンズバーグも「恋多い男」なわけです。

で、ギンズバーグはキャサディに対して募る恋心を、何かの形で発散させなければいけませんでした。それで詩作に走った。(笑) 

「神聖なるケルアック、神聖なるキャサディ!」そうギンズバーグは1956年に出版された詩集『吠える』の中で叫んでいる……これがもう「わお~ん!」て感じ。

ギンズバーグ詩集
ギンズバーグ詩集


『吠える』ではケルアックやキャサディに加えてギンズバーグの新しい恋人であるピーター・オーロフスキー、それからギンズバーグのお母さんが収容されている精神病院で知り合いになったカール・ソロモンへの想いも吐露されています。ハッキリ言って、凄い世界です。

ギンズバーグにとって詩作とは、自分のほとばしり出るような感情を、言葉の持つリズムによって表現する手法に他ならなかったわけです。だからリズムがめちゃ大事。ということは……ギンズバーグの詩は原文の英語で読まないと、ピンと来ないかもしれない。出来れば、誰かの朗読で聞くのが良いですね。

実際、『吠える』は印刷物として出版される前(だとおもう)に1955年10月7日にサンフランシスコのフィルモア・ストリートとフィルバート・ストリートの交差点近くに昔存在したシックス・ギャラリーの朗読会で初めて披露されました。

この朗読会にはギンズバーグの他にゲイリー・シュナイダーやマイク・マクルーアーなども参加し、約百人の聴衆が集まったらしいです。聴衆の中にはジャック・ケルアックとニール・キャサディも居た。

つまりこの頃までにコロンビア大学の一派は、皆、サンフランシスコに移っちゃうわけですね、但しウイリアム・バロウズを除いて。サンフランシスコは人とちょっと違った考え方をする人や、社会規範に収まりきれない「はみ出し者」に対して寛容な都会なので、居心地が良かったのかも。