今夜、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(BOE)が政策金利を発表し、記者会見を持ちます。どちらも現行の金利ならびに量的緩和政策のスタンスの変更はしないと見られています。

しかし……

今夜の記者会見はチョッと注目する価値があると思います。

まずイングランド銀行は現行の政策金利0.50%を維持、資産買い入れ規模3,750億ポンドを維持すると思われます。むしろ市場参加者が注目しているのは次期イングランド銀行総裁に内定しているマーク・カーニー加中銀総裁が09:45GMT(米国東海岸時間04:45AM)からトレジャリー・セレクト・コミッティー(TSC)から公開質問を受ける予定になっているという点です。そこで一体、カーニー新総裁としてはイングランド銀行の采配に関してどんな意見を持っているのかをざっくばらんに質問すると思われています。

カーニー加中銀総裁はこれまでに「世界の中央銀行がまだやれることは残っている」という思わせぶりな発言をしています。これは彼がイングランド銀行総裁就任後、インフレ・ハト派的なスタンスを取るのではないか? という市場参加者の期待を煽る結果となっています。それから「消費者物価指数ではなく、名目GDPを金融政策のターゲットに使った方がいいかも」という、結構ラジカルな発言をしています。



現在、英国の消費者物価指数は2.7%程度で推移しており、既にBOEのターゲットである2%を超えてしまっています。これはインフレ・ターゲットという手法が「空回り」しているという印象を投資家に与えています。

英国の2012年第4四半期のGDPはマイナス成長だったので、名目GDPをターゲットにした方が、よりトラクション(摩擦)のあるレート誘導が可能かも知れないというわけです。

市場は既にカーニーの「名目GDPをターゲットにする」という発言を或る程度織り込んでいると思いますので、若しこの面でカーニーが「知らんぷり」したら、相場が荒れるかも知れません。

一方、ECBのドラギ総裁の記者会見は日本時間の22:30PMからですが、こちらもチョッと面白いです。なぜなら最近、LTRO(三年物流動性供給オペ)でECBからおカネを借りていた欧州の銀行各行が、「もう大丈夫デス!」というゼスチャーのために、こぞってLTROを返し始めているからです。このためECBのバランスシートに占めるLTRO関連貸付分は10%程度縮小するかもしれません。すると「何だ、ECBはタイトじゃん!」という非難の声が上がる可能性がある(笑)……

欧州の銀行の一部はデリバティブの損失を発表しているし、銀行の「貸し渋り」は、相変わらず改善していないとの報告もあるわけで、ドラギ総裁から「そんな折、LTROを返金して、おまいらどうすんねん!」という活が入るかもしれないのです。