米国は既に世界で最も多く天然ガスを生産しています。

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しかし天然ガスの増産で天然ガス価格は低迷しました。現在は3.5ドル付近をウロウロしています。

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このため日本がカタールから買っている天然ガスの値段より、米国の指標銘柄であるヘンリーハブの天然ガスの方が4分の1から5分の1も安い値段になっています。

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このグラフを見た人は「それならアメリカから天然ガスを買えばいいじゃないか」と単純で性急な結論を出します。でも物事はそれほど簡単ではないのです。

天然ガスは気体ですから運搬するのがとてもむずかしいです。空気を運んでいるのと同じですから、少しの量だと採算に合いません。

液化天然ガスLNGは天然ガスを冷蔵庫で冷やしてやって液体にすることで体積を600分の1にして運んでいるわけです。巨大タンカーがそのもの冷蔵庫だと思って下さい。

これだけの処理をするには大きなプラントが必要になります。アメリカには天然ガスを液化するプラントは殆どないです。米国で天然ガスの市況が急落したひとつの原因は、最終需要家、つまり顧客のことまで考えず、やみくもに天然ガスを生産した結果なのです。

今後はパイプラインやLNG施設やLNG船などを整備してゆく必要があります。それには10年くらいの歳月がかかるわけです。

だから日本の商社が米国の安い天然ガスを買い叩くといっても、日本にまで持ってこれないのなら、意味ないのです。今後、ヘンリーハブの天然ガス価格は上昇するとわたしは考えています。

その理由は余りにも天然ガス価格が低迷しすぎて、採算が取れなくなったリグがいまどんどん休止しているからです。

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赤が天然ガスのリグの本数ですが、市況が崩れてから稼働数が激減していることに注目してください。

一方、青は石油です。アメリカではノースダコタ州のバーケンでシェールオイルが採れます。こちらの方は天然ガスほど市況が崩れていないので、リグ活動が悪化していないのです。


天然ガスのリグが休止すると供給が細るので、今後、天然ガス価格は上昇します。

その場合、段取りが悪く、高コスト体質で、利益をだせない企業ほど早く廃業するわけですから、最後に残る企業はテキパキと段取りが良く、効率の良い会社だということになるのです。キャッシュフローを生んでいる会社、操業効率の良い会社、先端技術を積極的に導入している会社、財務力がある会社などの銘柄選択基準はこのような理由から設定されているわけです。

さて、米国の天然ガス会社はこのグラフに見られるようにシェールガスからシェールオイルへとシフトしています。そこで米国のオイルのマーケットをみると;

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確かに今後タイトオイルと呼ばれる、難易度の高い場所から生産される原油が増えそうな見込みです。

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世界の原油生産のシェアでは米国は第3位です。

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既に原油の生産量は増加に転じています。

これはいままでほど石油を輸入しなくて良いことを意味します。それを反映して先日発表された米国の貿易収支は大幅に改善を見ました。

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これは今後の世界の地政学などに大きな影響を与える可能性があります。