ニューヨーク・タイムズが第一面で「ハイテク業界がギャンブル解禁に備える」と題する記事を掲載しています。

その記事によるとシリコンバレーのネット企業はリアルマネーによるギャンブル解禁が次の10億ドル規模の産業になるという想定のもとで、さまざまなサービスの準備に余念がないということだそうです。

米国の法務省は既に幾つかのオンライン・ギャンブルにOKのシグナルを出しています。州レベルではネバダ州とデラウエア州がオンライン・ギャンブル解禁への準備を進めています。先日、ニュージャージー州も解禁に積極的な姿勢を明らかにしました。この他、オンライン・ギャンブル解禁立法が動いている州として、ミシシッピ、アイオワ、カリフォルニアなどがニューヨーク・タイムズに指摘されています。もちろん立法までには紆余曲折があるでしょうし、これは遅々としたプロセスです。ただ各州とも州財政の立て直しを図らなければいけませんから、インセンティブは存在します。

一方、シリコンバレーの企業の側からするとオンライン・ギャンブルは「電子書籍と別に変わらない」という態度を持っているそうです。つまり本がバーチャルになるのなら、なぜギャンブルだってバーチャルにしていけないの? というわけです。


或る意味、オンライン・ギャンブル解禁は、これまでギャンブルを半ば独占的に仕切ってきた、ラスベガスをはじめとするカジノ産業と、その独占を崩したいと考えるIT企業ならびに州政府の戦いであると言えるかも知れません。

既にオンライン・ギャンブルが解禁されている海外では、320億ドルもの収入が計上されており、これは米国の実店舗カジノ産業の総額に近いです。ジュニパー・リサーチによると2017年までにスマホを経由したオンライン・ギャンブル市場は1,000億ドル市場に膨張すると予想しています。

米国のネトゲ企業にとって、ひとりのユーザー(=その大半は無料でプレイします)のライフタイム・バリュー(生涯価値)は$2に過ぎません。しかしニューヨーク・タイムズの記事では、リアルマネー・ギャンブルが解禁になるとライフタイム・バリューは一気に$1,800程度に跳ね上がると言われています。

これは俄かには信じがたい数字かも知れませんが、証券会社、銀行、保険会社、FX業者などにおけるカスタマーのライフタイム・バリューは楽勝でその程度の数字であることを考えると、決して滑稽な数字ではないと思います。

皆さんも、例えば「LINE」でプチ・ギャンブルを楽しめるようになった時のことを想像してみてください。プチ・ギャンブルがネット企業のARPUを激変させるわけです。