image-464866-thumbflex-damg

(デア・シュピーゲルの表紙)

ドイツのシュピーゲル・オンラインに『Die neuen Gastarbeiter』つまり「新しいゲストワーカー」と題した記事が載りました。

長引く南欧諸国の不況で、それらの国々の高学歴の若者達が職を求めてドイツに殺到しているというのがこの記事の主旨です。

とりわけ興味深い点は、これまで欧州のリッチな国々は移民を敬遠する傾向にあったのが、ドイツの場合、「高学歴でマルチリンガルな若者なら、どんどん来て!」と歓迎する態度になってきているという指摘です。

ドイツという国が今後も経済的に成功するためには、そういう「神様からの贈り物」のような人材を、上手く使いこなしてゆかなければいけないというわけです。

過去にドイツに来た移民はどちらかといえば労働者階級でした。ところが最近、ドイツに入国するゲストワーカーの半数は大学卒の肩書をもっており、しかも2012年の上半期だけで50万人ものそのような高学歴な労働力がドイツに流れ込みました。

ドイツの保守政党、ドイツキリスト教民主同盟(CDU)に所属するウルスラ・フォン・デア・ライエン労働社会相は「高学歴でマルチリンガルなゲストワーカーはドイツを若くし、創造性を増し、国際的にする。だから全てのドイツ国民が恩恵を蒙る。また若いゲストワーカーたちも自分のキャリアをドイツでスタートすることができるから、メリットがある。もちろんドイツも不足しているエンジニア、医者、看護婦などのプロフェッショナルな人材が獲得できるので、メリットを受ける」と発言しています。


シュピーゲルは「ドイツが世界でトップクラスのエコノミーであるという地位を維持するためには、移民が必要だ。なぜなら最近は富というものが市民の頭脳から生まれているからだ。もし高学歴でマルチリンガルな移民を受け入れなければ、ドイツは高齢化社会だから富が払底するだろう」としています。

シュピーゲルは「今日の若くて高学歴な欧州の若者は、もはや自分の国だけを祖国だとは考えていない」としています。ヨーロッパ大陸全体が、かれらの祖国というわけです。彼らは初めて貰ったお小遣いがユーロ・コインで、誰もが最低でも二ヶ国語を話すし、学校の修学旅行は国内ではなく、パリ、ロンドン、マドリード、ワルシャワ、プラハ、ブダペストなどに行くというわけです。また格安航空会社やスカイプの登場も欧州を小さくしました。

ドイツで学んでいるルーマニアの大学生は、ホームシックになると祖国のルーマニアに帰国するのではなく、ロンドンに行きます。なぜなら友達の多くがロンドンに行っているからです。

メルケル政権は表向きには「移民のタダ乗りを許すな!」という保守的な声に耳を傾けているようなそぶりを見せていますが、その裏ではどんどん移民をめぐるハードルを取り除いています。実際、2012年8月には「EUブルーカード」という制度を導入しました。これはEU市民でなくても、大学卒で、年収4万6千ユーロ以上の仕事にジョブオファー(=採用通知)を受けたら、労働を許可するという制度です。OECDは「ドイツは高学歴の移民にとって最も制約の少ない国のひとつである」としています。