池田信夫が「期待って何?」という記事を書いています。そこで:

まず「期待」という言葉の使い方が変ですね。インフレというのは消費者にとってはいいことではないので、インフレを心待ちにしている人はいません。これは黒田さんが悪いのではなく、expectationを期待と訳した経済学者が悪いのです。最近は「予想」と訳すようになっています。


という事が論じられています。

僕のような市場の人間からすれば、expectations(市場参加者は一人では無く、相場は多数の人々の勝手な思惑の集大成だと思うので、sを付けるべきです)は、あくまでもエクスペクテーションズであって、「期待」か、「予想」か? なんて形而上学的、いやレトリカルな論争をしているのは、日本人だけ。(笑)

早い話、エクスペクテーションズというのは、相場の世界ではコンセンサス予想に他なりません。

ちょっと脱線するけど、Market Hackで決算や経済指標関係の記事を書くときは、必ずコンセンサス予想に対して、どうだったか? という事に言及します。ウォールストリート・ジャーナルのような一流の経済紙も、決算関係の記事は必ずコンセンサス予想と比べてどうだったか? という点に言及があります。それは、そういう風に訓練されているんです。

「期待」か「予想」かという言葉尻の問題に、衒学的にのめり込んでしまう背景には、決算に関する記事なのに、コンセンサス予想に言及しないとか、市場に影響するニュースなのに株価がどう反応したかを書かないなどの、記事としての致命的な欠陥が、当たり前となっている状況があるからではありませんか?

がっかり決算とかポジティブ・サプライズとかということを記事にするのは卑しいとでも思っているのかしら? だから奥ゆかしくユーフォミズム(euphemism)の世界に入って、記事の対象となった企業のご機嫌を損ねないように、「例のチョメチョメがアレでして…」式の極めて不明瞭な報道になってしまう……

本題に戻ると、アベノミクスが目指すべきところは、あからさまにコンセンサス予想に対して直で働きかけるという事に他ならないのです

「ゲーッ! ナマでナカダシかよッ!」


そういう本気感が伝わってきたからこそ、11月以降、ここまで口先だけでこれだけ相場が動かせたというわけ。それが良いか、悪いかは、別としてね。