今日ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が大統領四期目の途中、癌で死にました。58歳でした。

チャベスはもともと陸軍の出身で戦車隊の司令官でした。腐敗した政権を覆すべくクーデターを企てましたが失敗した経験を持っています。この時、ベネズエラの庶民から認知され、その後、選挙に立候補し、大統領に選ばれ、それ以来、14年間に渡ってベネズエラを治めてきました。

ベネズエラはBPの調べでは2.97億バレルの石油の確認埋蔵量を誇っており、これはサウジアラビアの2.65億バレルをおさえて堂々世界第1位です。

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チャベス大統領の治世はポピュリスト的な価値観に基づくもので、有り体に言えば、豊富な石油収入を背景としたバラマキ政治でした。

チャベス大統領は多くの企業を接収し、国営化しました。つまり社会主義です。

彼はラテンアメリカの独立運動のヒーローであるシモン・ボリバルに自分のイメージを投影し、「ボリバル的革命」を推進するという方針を打ち出しました。

その一方で最高裁判所の力を弱め、中央銀行の独立性を奪いました。さらに自分が何期も大統領を続けられるように憲法を改正しました。

彼の人気を決定的にしたのは貧困層に対する社会福祉プログラムでした。


しかしベネズエラの石油産業は長年に渡る過少投資が祟って、設備は老朽化、生産性は低下を見ています。

その昔、ベネズエラにはしっかりとした中産階級と一握りの裕福層が存在しました。しかし彼らはチャベスの社会主義的な政策で、没落しました。

チャベス政権の下で「お恵み」に慣れっこになってしまった貧困層と、旧中産階級ならびに裕福層のグループとは、こんにち政治的に対立しています。

また選挙前のバラマキ政治のせいでインフレは高騰し、通貨ボリバルは切り下げられています。

当面、副大統領ニコラス・マドゥロは暫定的に大統領に就任しますが、同国の憲法の規定により30日以内に選挙を実施する必要があります。この選挙では先の選挙でチャベス大統領に敗れた野党のエンリケ・カプリレス候補が再び立候補すると思われます。

周辺国への影響ですが、ボリビアとエクアドルは歴史的にチャベスを師と仰ぎ、チャベスの推進する「ボリバル的革命」の精神に則った政治が運営されてきましたので、これらの国も今後政治が不安定になるリスクがあります。さらにキューバはこれまでベネズエラから巨額の支援金を受けていたので、今後もそれが継続されるのかどうか注目されています。