米国の大手出版社、サイモン&シュースターがKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)で自己出版されたSFスリラー『WOOL(ウール)』に六ケタ(=つまり1億円以上)の前渡し金を支払ったことが、話題になっています。

今回、サイモン&シュースターが獲得するのは、紙の本を出版する権利だけであり、デジタル・ライツ(電子書籍の権利)は含まれていません。

サイモン&シュースターとのディールを別として、著者のヒュー・ハウイーはこれまでにKDPだけで50万部を売り、既に1億円の印税を稼いでいます。



上のウォールストリート・ジャーナルの動画では『WOOL』が次の『ハンガー・ゲーム』になるのではないか? ということが議論されています。

実際、彼は『エイリアン』のプロデューサーに既に映画化の権利を売却済みです。

なお今回、サイモン&シュースターがデジタル・ライツを含まないディールを締結したことは「終わりの始まり」だと感じる出版業界関係者が多いです。なぜなら長期の趨勢として電子書籍市場は成長している一方で、紙の本は頭打ちだし、マージン(利幅)が存在するのはデジタル・ライツの方だからです。

著者のヒュー・ハウイーは書店の店員で、夜の三時に起きてこの小説を書いたのだそうです。それを小出しに、99セントでシリーズとしてKDPで売出し、読者が試しに買いやすい値段設定を心掛けました。結果として商品の連作は「麻薬的にやみつきになる」効果を生んだのだそうです。

ま、そういう僕も、実はこのフォーマットが効果的かもしれないということは以前からうすうす気付いていて、既に実験を開始しています(笑)

フェデレーション
フェデレーション [Kindle版]


僕の考えでは、KDPにおけるFirst-mover advantageは、まだまだ消滅していない気がします。今はなるべく沢山、試行錯誤を繰り返した奴が、勝ち。