テレグラフが伝えるところによると大手広告会社、WPPグループの傘下の広告代理店、JWT(=ジェームズ・ウォルター・トンプソンの略)のインド子会社が下のような広告を米国のフォード本社に断りなく出し、大問題になっています。

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インドでは外国人観光客に対する集団レイプ事件が起こったばかりで、ちょうどインド議会が反レイプ法案を可決したところでした。反レイプ法は集団レイプや性的暴行により被害者が死んだり、重症を負った場合には加害者は死刑に処されることが規定されています。

問題の広告はフォードのFigo(米国での商品名は「フィエスタ」)のトランクルームが広いことをアピールしようとした意図があるようですが、運転席からVサインを送っているのがイタリアのシルビオ・ベルルスコーニであることも欧州の人々を驚愕させています。

フォードはただちに「こんな広告は承認した覚えは無い」と声明を発表し、JWPを厳しく批判しています。

JWPの親会社であるWPPグループは深謝する声明を出しています。

WPPグループは世界一の広告代理店で、グローバルに16万人を雇用しています。その中身はJWPのほか、ヤング&ルビカム、グレイ、ヒル&ノルトンなど沢山の広告代理店から成っています。つまり買収で大きくなった、ツギハギだらけのコングロマリットなのです。

内部管理の目が行き届かなかった一因は、この迷宮的な組織構造にあるのではないでしょうか?

WPPグループはもともとイギリスのスーパーの買い物かごを作るメーカーでしたが、マーティン・ソレルという名物経営者が当時英国で最大の広告代理店であたサーチ&サーチを乗っ取り、その後JWPも買収するというカタチで、業界のコンソリデーターとしてのしあがったことで誕生した企業です。