イスラエルのタマール天然ガス田で3月30日から天然ガスの生産が開始されました。このオフショア天然ガスは海底のパイプラインを通って、テルアビブの南、アシュダッドに陸揚げされます。

このニュースが出た時「なぜユダヤ教の安息日に最初の生産が開始されてしまったのか」とユダヤ教正統派から責任追及の声が上がりました。

しかしイスラエルにとってはエネルギーの自給自足はもとより、将来は輸出国となる記念すべき日となりました。

イスラエル近海では米国の石油・天然ガス探索生産会社、ノーブル・エナジー(ティッカー・シンボル:NBL)が中心となり天然ガスの探索がおこなわれてきました。このところ6つの天然ガス田が相次いで発見されています。それらは:

タマール(Tamar) 36%
リバイアサン(Leviathan) 40%
ドルフィン(Dolphin)40%
タニン(Tanin)47%
ダリト(Dalit)36%
キプロス(Cyprus)70%


です。なお%はノーブル・エナジーの持ち分を示しています。これらの発見を合計すると35兆立方フィートの推定埋蔵量となります。

パートナー企業の持ち分を差し引いたノーブル・エナジーの権益は12兆立方フィートです。同社はこのうち2.2兆立方フィートを確認埋蔵量としてこれまでに計上しています。

イスラエル国内の天然ガス需要は現時点では発電向けが約5億立方メートル/日、工業向けが2.5億立方メートル/日となっています。合計で7.5億立方メートル/日です。

これが今後、年率15%で成長すると見られています。なぜなら同国の一人当り消費電力は6.6KWhで、テキサスの14.5KWhなどと比べるとかなり低いからです。

現在、イスラエルの発電所の40%は石炭を燃料としています。今後、これが天然ガスにだんだん取って代わられると見られています。


タマール天然ガス田は、総開発費用32.5億ドル、発見から生産に漕ぎ着けるまでのサイクルタイムは2.5年という事ですから、かなり超スピードで開発されたことになります。

今回のフェイズ・ワンでは9.85億立方メートル/日まで生産量を引き上げてゆく予定です。するとタマール天然ガス田だけで、イスラエル一国の天然ガスの現在の需要が、ほぼ賄えてしまうわけです。さらに2015年までには15億立方メートル/日へ増産する計画です。その場合は国内需要を上回る生産となりますから、産出された天然ガスは圧縮される必要があるし、貯蔵施設が必要になります。将来は洋上LNGプラントの建設が検討されているのはそのためです。

現在のノーブル・エナジーとイスラエル政府との取り決めでは天然ガスの引き渡し価格は2013年が$5.20/Mcfとなっています。

タマール天然ガス田の経済効果としてはイスラエルはこの天然ガス田のライフサイクルを通じて1,300億ドルのコスト・セービングならびに収入を得ると試算されています。

さて、タマールは今回、イスラエル沖で発見された天然ガス田のひとつに過ぎません。

規模で言うとリバイアサンの方が大きいです。リバイアサンは推定埋蔵量17兆立方フィートと言われています。 リバイアサンは2016年から生産開始が予定されており、輸出は2018年から開始される予定です。これまでの試掘ではリバイアサンの流量は極めて強く、ひとつの天然ガス井で軽く2.5億立方メートル/日の生産が可能です。

リバイアサンから生産された天然ガスは海底パイプラインでハイファへ陸揚げされる予定です。その生産量は軌道に乗った時点で16億立方メートル/日と見られ、半分は国内、半分は輸出へ回される予定です。なお輸出分に関してはLNGにする必要があるのでオーストラリアの石油・天然ガス会社、ウッドサイドがパートナーとして既に選定されています。

さらに今回ノーブル・エナジーが発見した天然ガス田のひとつであるキプロスは5~8兆立方フィートの推定埋蔵量であると見られています。こちらの試掘は2013年に開始します。

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