米国証券取引委員会(SEC)がFacebookやTwitterを使って企業が情報開示することをOKしました。但し条件として予め「それらのSNSを使いますから」ということを断っておくこととしています。

今回の判断のキッカケになったのは去年、ネットフリックス(ティッカー・シンボル:NFLX)のリード・ヘイスティングスCEOがTwitterで「月次視聴時間が10億時間を初めて超えた」とツイートしてしまったことで、公正なる開示基準に抵触してしまったのではないか? という疑いがもたれたからです。

一部の人だけに情報を教えることを証券界ではセレクティブ・ディスクロージャーといいます。これはご法度です。

セレクティブ・ディスクロージャーに関する最初のルールは1961年に設けられました。これにより企業は経営内容に関する大事な変化があった場合、米国証券取引委員会に届け出をしなければいけなくなりました。そこでは四半期会計報告書は10-Q、年次会計報告書は10-K、決算の数字の変更や、その他、企業にとって都合の悪い重要なイベントが起きた時は8-Kという形式で、ディスクロージャーがなされます。

その後、企業は決算の情報などをニュースワイヤーにリリースすることを始めました。インターネットの登場で2008年には企業ウェブページでのニュース発信も認められるようになりました。

つまりディスクロージャーの歴史は、だんだん広範な方向へと進んでいるわけです。

さて、今回の問題では「若しTwitterでフォローしていない人が居たら、それはセレクティブ(選択的)なディスクロになるんじゃないの?」という点が議論されました。


しかし一般の庶民で、ダウジョーンズのニュースワイヤーをサブスクライブし、常に公式リリースに注視している人は少ないです。それよりTwitterのフォロワーの方が多いでしょう。またファンドマネージャーでもエドガー・オンラインを日頃からチェックし、8-Kに目を光らせている人は、ごく一握りです。

証券会社のアナリストは、そんなファンドマネージャーの怠惰な姿勢を利用して、8-Kなどのファイリング情報をネタにリサーチコールをする……これで仕事になるわけです。

これらはいずれも既存の開示経路がease of use、つまり使い勝手上、イマイチだったことにかこつけた、派生的なサービスと言えます。

リード・ヘイスティングのようなCEOがTwitterで直に投資家とコミュニケートすれば、証券会社のアナリストがわざわざ8-Kを発掘する必要はなくなるわけで、その局面だけに関して言えば、アナリストはお役御免になるわけです。

これは悪いことではなく、良いことだと思います。