米国の投資週刊紙『バロンズ』に「Does Japan Face a Debt Apocalypse?」と題された記事が出ました。Apocalypseはヨハネの黙示書とか世界の終末という意味です。以下抄訳:

未だ四月だが、今年ベストの投資戦略だった「円安演出の恩恵を蒙る日本株買い」というトレードは、もう賞味期間が終わったかもしれない。

日銀による巨大な量的緩和政策は、金融市場に活を入れた。だが日本国債にとってこれは危険な賭けかもしれない。日本政府は低い金利で国債を売りだせるという事に依存しているからだ。

ダラスのヘイマン・アドバーザーズのファンドマネージャー、カイル・バスはかねてからそう指摘してきた。カイル・バスはリーマンショックの時にまんまと儲けた男だ。

現在、彼は「日本国債の金利が跳ね上がり、大きな円安が来る」というシナリオ下で利益が出るポジションを取っている。

日本がはじめた今回の「紙幣の印刷」の効果が短命に終わると見ているウォッチャーも居る。

「AbeはAsset-bubble economicsの頭文字じゃないか」というのはメリルリンチのストラテジスト、マイケル・ハートネットの指摘だ。

(中略)

日本の機関投資家は日本以外へも投資を分散させはじめている。10年債の利回りが0.6%しかない日本国債より、もっと有利で、円安のヘッジにもなるような投資対象を求めているわけだ。

ここ数日、日本国債の市場は乱高下気味だ。カイル・バスはこれは「終わりの始まりだ」としている。

日本企業の多くは既に生産拠点を海外に移してしまっている。つまり空洞化は、もう起きてしまった後だ。だから円安の恩恵を日本のメーカーがフルに享受することはできない。

2%のインフレを望むという日本政府の新しい目標についてカイル・バスは「彼らは、一体、自分達がどんなことを望んでいるのか、しっかり考え抜いていない」としている。金利が上がってしまうと、日本政府の借金のコストは上昇する。

日本政府の借金はGDPの2倍の大きさだ。

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日本政府の借入総額は収入の24倍である。

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日本政府の収入は政府のいろいろな支出の半分しかカバーしていない。そのことは、残りの半分は年間4千億ドルにものぼる借入で賄っているということだ。

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日本政府は利払いだけで年間1千億ドル近くを支払っている。

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今は日本の借入コストは安い。

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しかし国債の人気が離散すれば、アルゼンチンのときとはくらべものにならない債務危機が発生するかもしれない。その場合、1ドル=250とか、日本国債の金利が10%台に跳ね上がるというシナリオも、ありうる。

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【追記】
上に紹介したのは『バロンズ』の記事であって、Market Hackの意見ではありません。記事中、引用されているカイル・バスは、以前から日本の危機説を唱えている人です。だから「オオカミ少年」的になっています。

ただこのところのJGB(国債)の動き方は、尋常ではありません。その意味ではカイル・バスの唱える、崩壊のシナリオも、絶対に無いとは言えなくなりつつある気がします。

ジョージ・ソロスのオープン・シンクタンク、アイネットのロード・ターナーも先日、香港のカンファレンスで「日本の借金は、通常の方法では返済されない」と断言しています。

その場合、物事が起こる順序こそが重要になると思います。

例えば国債を大量に保有している金融機関で多額の評価損が生じ、それが金融機関への不信感というカタチで現れた場合、預金者の心中はおだやかではなくなるでしょう。預金とは銀行にお金を貸しているのと同じことだからです。

また景気テコ入れ策により、どれだけ景気が回復し、その結果、政府の法人税の税収が増えるかも注目に値します。

兎に角、債券投資だけに限って言えば、もし円安基調ということを前提にすれば、JGBの他に、もっと魅力のある投資対象があり過ぎる……それが大問題だと思うのです。