情報端末事業とジャーナリズム部門の区別がちゃんとついているのか?

ブルームバーグの企業倫理が今、問題になっています。

コトの発端は、先週金曜日、アメリカのタブロイド紙『ニューヨーク・ポスト』が「ブルームバーグの報道部門に勤める記者たちが、ユーザーの端末上でのビヘイビアを取材に利用している」と報じたことによります。

土曜日のニューヨーク・タイムズは、この問題にさらに深く切り込んでおり、一大スキャンダルの様相を呈してきました。

その記事によると現在世界では31.5万台のブルームバーグ端末が稼働しています。それは年間のサブスクリプション料金が200万円(=どのパッケージを選ぶかによって変わります)もする、「情報端末のロールスロイス」と呼ばれる至れり尽くせりのサービスです。

ここから上がっている安定的な収入があるため、ブルームバーグは沢山の記者を抱えることが出来ます。現在、同社は世界中で2,400人の記者を雇っています。

さて、ニューヨーク・タイムズの土曜日の記事の中では、それらのブルームバーグの記者のうち数百人が、いわゆる「Z機能」と呼ばれるコマンドを使って、ネタ探しをしていたことが暴露されています。

その機能を使えば、特定のユーザー企業のサブスクライバーのリストを表示し、その顧客企業の個人ユーザー名をクリックすると「UUID」という機能が呼び出せ、その個人ユーザーの個人情報、最後にログオンした時間、ユーザー間のチャット記録、どのブルームバーグ機能を何回利用したかなどが一目瞭然になるのです。

ジャーナリストはユーザーがどの個別銘柄の株価やチャートをチェックしたかまではわからないけれど、ユーザーの考えていることは「Z機能」による覗き行為で、大体わかる……この情報をもとに、次にどんな記事を書くかのアイデアを得るというわけです。


ブルームバーグのダニエル・ドクトロフCEOはブルームバーグ端末のメッセージならびにブログで「このような報道部門の姿勢は間違い(mistake)だった」と認めています。

JPモルガンでは去年、「ロンドンの鯨」事件が起きた時、件のトレーダーが「もうクビにされたのではないか?」という憶測が流れました。JPモルガンは沈黙を守っていたのですが、ブルームバーグの記者が「問題のトレーダーはブルームバーグ端末にもう何日もアクセスしていない」とやってしまったわけです。

ニューヨーク・タイムズは記事の中で「1990年代にブルームバーグがニュース部門を立ち上げた際、記者がユーザーの端末利用状況を取材に活用することを奨励した。そして端末を営業して回る際、記者をセールスに同伴させ、端末の営業を促進することもした。このためブルームバーグのOBの多くは、ブルームバーグはより多くの端末を売るためにニュース部門を抱えていると感じている」と批判しています。

これは僕がかねてからずっと抱いてきた印象と一致しています。

ニュース・オーガニゼーションとして、ブルームバーグは一流じゃない。

だから古くからのMarket Hackの読者は気が付いていると思うけど、僕はブルームバーグの記事を引用することは、しません。

なぜって?

それはダサい行為だから。

違いがわかる金融マンには、そんなコトは昔から周知の事実です。