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米国のサード・ポイント(Third Point, LLC)はウォール街では一目置かれているハゲタカ・ファンドです。

最近ではヤフー(ティッカー・シンボル:YHOO)のスコット・トンプソン前CEOの学歴詐称を暴いて、トンプソンCEOをイチコロで辞任に追いやったことで話題になりました

およそ企業としてこれ以上の屈辱は無いという蔑みをヤフーは甘受せざるを得なかったわけですが、それが後にマリッサ・メイヤー現CEOの抜擢につながったことを考えると、あの事件は良かったのかも知れません。

さて、そのサード・ポイントの怖いファンドマネージャー、ダニエル・ローブが次の獲物としてSONYに狙いを定めました。

ローブはSONYの6.5%株式を玉集めし、同社に対して公開質問状を送り付けています。以下はその抄訳:

平井様
先日はミーティングの時間をとって頂き、ありがとうございました。
サード・ポイントは現在、ソニーの最大の株主になっています。保有株式数は約6,400万株で、その時価価値は1,150億円です。このうち710億円分は直接保有、440億円分はスワップ契約です。
持ち株が報告義務を超えたので、米国の公正取引委員会(FTC)にハート・スコット・ロディノ法に基づいた大量保有の届け出を行いました。
これから書くレコメンデーションを御社の取締役会が前向きに検討することを望みます。

あなたは2012年にCEOになられてから「ソニーは新しい時代に入って行かなければならない」と主張されてきました。「この会社を変貌させなければいけないし、時間をムダに出来ない」とも発言されました。

ソニーはモノ作りの復活を目指すアベノミクスの経済改革で、いま御社にとってまたとないチャンスに遭遇しています。来月には成長のための「三つの矢」アプローチも公表されると言われています。その中には規制緩和と構造改革も盛り込まれていると聞きます。ソニーのような日本を代表する企業はこの試みの最先端に立つべきではないでしょうか?

サード・ポイントは現在、ソニーが持っている改革案を支持しますが、ソニーが将来成功してゆくためにはもっと事業フォーカスを絞り込むべきです。企業のパートナーとしての株主のたちばから、謹んで次の諸点を提案させて頂きます:

【我々の提案】
ソニーというブランドは何年もイノベーションの代名詞でした。日本の誇れるレガシーをこれほど体現してきた企業もありません。しかし御社の事業価値の隠された宝はエンターティメント部門です。我々は今までにいろいろなコングロマリットに投資してきましたが、その多くの例にもれず、ソニーも家電とエンターティメントという二つのビジネスがお互いを打ち消し合っていると思います。

ソニーはソニー・エンターティメントのオーナーシップ構造を変革することで負債を軽減し、家電事業にもっと力を注げるようになると思います。

ステップ1
ソニーはエンターティメント事業の15~30%をIPOすべきです。サード・ポイントの試算では同部門はソニーのエンタープライズ・バリューの40%を占めています。しかし米国のライバルのエンターティメント企業に比べると営業マージンが悪いです。若しこの部門をIPOすると米国のエンターティメント部門の経営陣に良いインセンティブが出来ると思います。同部門のEBITDA(利払い税前償却前利益)は今より50%改善してもおかしくないと思います。すると追加的に6,250億円ほど時価評価が増える可能性があります。つまりソニーの株価一株当たり540円分増えてもおかしくないのです。

ソニーの既存株主はこのIPOに参加する機会を与えられるべきですから、単なるIPOやスピンオフではなく、サブスクリプション・ライツ(新株引受権)を既存株主に付与する方法でIPOすることを望みます。

(中略)

ステップ2
家電事業の事業フォーカスを絞り込むこと。(中略)

サード・ポイントはソニーのグローバル・ブランド、卓越した技術力、献身的な社員の力などを信じているからこそ、御社への投資を実行しました。つまり御社のパートナーとして協働してゆきたいのです。

ソニーは、強くなる。

でもそのためにはソニーは変化しないといけないし、事業フォーカスを絞り込まないといけません。

ダニエル S ローブ



【僕の追記】
確かにローブが言うように、今、アメリカのエンターティメント産業は黄金時代を迎えつつあります。これはNetflixやHuluの登場で映画コンテンツを売る、新しい商機が映画会社にもたらされたことにもよります。

下はタイムワーナー(TWX)です。

1

次はウォルト・ディズニー(DIS)です。

2

次はライオンズゲート・エンターティメント(LGF)です。

3

(文責:広瀬隆雄 Editor in Chief, Market Hack)
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