フェイスブック(ティッカー・シンボル:FB)の株価がいまひとつ冴えません。

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去年の年末から勢いよく上昇した局面があったのですが、1月に高値をつけて以来、軟調に推移しています。

1月に同社株がピークをつけ、暗転した背景にはモバイルへの移行が広告単価のプレッシャーにつながるのではないか? という懸念がありました。売上高に占めるモバイル比率が高まれば高まるほど、業績が圧迫されるというわけです。

2012年第4四半期の広告売上高に占めるモバイル比率は23%でした。2013年第1四半期にはこれが30%に上昇しました。

つまりフェイスブックのモバイルのマネタイゼーションは、予想より上手く進んでいるのです。

しかし株価の方は5月2日の決算発表以降も冴えませんでした。その理由は今回の決算ではEPSが市場予想を下回ったからです。

フェイスブックのような上場して間もない企業の場合、毎期の決算発表でEPS、売上高、ガイダンスのそれぞれの面で市場予想を上回る必要があります(なおフェイスブックはガイダンスを出さない方針です)

つまりフェイスブックは、この「鉄の掟」を破ってしまったのです。

バリューラインはフェイスブックの業績を下のように予想しています。

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【略号の読み方】
DPS一株当り配当
EPS一株当り利益
CFPS一株当りキャッシュフロー
SPS一株当り売上高


なおフェイスブックは未だ配当を払っていないのでDPSの欄はゼロです。

バリューラインはフェイスブックのマージンが下のように推移すると予想しています。

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つまりフェイスブックは1990年代のドットコム・ブームの当時のような「利益の無い会社」ではないということです。


株主資本利益率は次のように推移すると予想されています。

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フェイスブックの株価のバリュエーション(評価)は、他のハイテク株と比べて、どうなのでしょうか? 下は別の調査会社、キャピタルIQのデータから作成した各社の株価収益率(PER)のグラフです。

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各社によって大きなバラツキがあります。これは現在の局面では単純なPERの比較が余り投資判断の役に立たないことを示唆していると思います。

次にPEGレシオを見る事にします。PEGレシオはPE to Growth ratioの略で、株価収益率をEPS(一株当り利益)の成長率で割り算した数値です。ここでは2014年のEPSが2013年のEPSに比べてどれだけ成長しているかの数字を使いました。また分母のPERは2013年のものを使用しています。

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これを見るとフェイスブックは1.22になっています。なお「PEGレシオは、1以下が好ましい」という事が、良く言われます。これには理論的な根拠は希薄です。ただEPSが急成長している企業ほど高い株価評価まで買われる場合が多いという経験則を当てはめれば、このレシオの背後にある投資家の考え方というものがある程度理解できると思います。

これで見るとリンクトインとヤフー以外は、大体、横並びであることがわかります。リンクトインはこれまで四半期の決算をキッチリと出してきた会社です。そう言う風に「投資家に操をたてる」会社が、株式市場でどんなにチヤホヤされるかが、このグラフからよくわかると思います。

翻ってヤフーのPEGレシオが高いのは、成長が少なすぎる(9.2%)からです。

なおアマゾンは13年から14年にかけてのEPS成長率が146%となっており、これが幸いしてPEGレシオが適正になっています。しかしその背後には、そもそも2013年のEPS($1.32)が少なすぎるという特殊要因があります。これは割り引いて考えるべきでしょう。

フェイスブックのEPS成長率は35%で、これはリンクトインの43%に次いで良いです。

最後にPSRのグラフを掲げておきます。これは時価総額を売上高で割り算した数字です。一般に、どんなにハイパー成長している企業でもPSRが10倍以上で取引されていると、どこかで大脱線するリスクがあります。そのような銘柄には手出しは無用です。ここではリンクトインが10倍を超えてしまっています。

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(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief, Market Hack)

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