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アンバレラ(ティッカー・シンボル:AMBA)はHDビデオ圧縮・画像処理システムをデザインしている会社です。

同社はSoC(システム・オン・ザ・チップ)デザインをODM(オリジナル・デザイン・マニュファクチャラーズ)に対して提供し、その知的所有権に対して対価を貰うというビジネスモデルです。言い換えれば同社の事業費用の大半は研究開発費(R&D)だということです。

先日、ウォールストリート・ジャーナルの『AllthingsD』カンファレンスでクライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズ(KPCB)のメアリー・ミーカーが「これからのインターネットは身に纏う事が出来る(wearable)、運転出来る(drivable)、飛ぶことが出来る(flyable)ことが必要になる」とコメントして話題を呼びました。

ウエアラブルの例はグーグル・グラスです。ドライバブルの例はグーグルの無人自動車です。またフライヤブルの例はドローン(無人偵察機)です。

これらのアプリケーションはSF小説の世界だと思っている人も多いですが、既に現実となっています。

例えばボストン・マラソン・テロ事件の犯人はフェース・レコグニション技術と監視カメラのデータをもとに割り出されました。

別の例としてロシアのウラル地方に隕石のようなものが落下したとき、実に多くのドライバーがその様子をダッシュボード・カメラで撮影していたことで世界が驚きました。

しかし国土が広いロシアでは交通事故が起きてもすぐにお巡りさんが駆け付けてくれないので、事故に備えて運転状況を常に録画しておかねばならないわけです。


実はそれらの自動車向けDVRレコーダにもアンバレラのチップが採用されています。

同社は去年の10月に上場されたばかりの若い企業です。

1月31日〆の第4四半期決算は売上高3,150万ドル(+28%)、EPS18¢でした。

同社のチップが採用されている例としてサーファーやスキーヤーなどのスポーツ選手が自分のパフォーマンスを記録するウエアラブル・スポーツ・カメラの『GoPro』があります。

このような用途では画像の解像度が高い上、低消費電力であることが重要です。

同社のソリューションは銀行、空港、その他、公共の場に設置されるインターネット監視カメラでも活躍しています。

今後、グーグル・グラスのようなウエアラブル・デバイスが出て来ると、同社の活躍の場は飛躍的に拡大することが予想されます。

同社の経営陣はビデオ圧縮チップのCキューブ出身者で固められています。

2014年度のコンセンサスEPSは83¢(+5%)、そして2015年、2016年はそれぞれ+30%、+45%成長すると見られています。

同社のライバルはテキサス・インスツルメンツ(ティッカー・シンボル:TXN)になりますが、テキサス・インスツルメンツの場合は幅広い製品を、あらゆるマーケットに提供しているため、HDビデオ圧縮・画像処理チップのストーリーは全体の中に埋もれてしまいます。

【追記】
システム・オン・ザ・チップ(SOC)のビジネスは特に浮沈の激しい、長期投資に向かないセクターです。同社の場合、IPO以降2回の決算発表はいずれもポジティブ・サプライズでした。これは良いことです。ただ今後もキッチリ数字を出してゆけるかどうかに関しては厳しい目で監視すべきでしょう。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief, Market Hack