SHIBOR(Shanghai Inerbank Offered Rate)が高止まりしています。オーバーナイトのレポ・レートは7%を超えた水準です。

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SHIBORが急騰した例は、過去にもありました。期末の技術的な問題なども働いていると思います。だから多くを読み込み過ぎることは危険だと思います。

それを断った上で、今回の流動性の枯渇は中国人民銀行の意図的な演出である可能性があります。

つまりシャドー・バンキングを政治的な経路で取り締まれないのなら、市場のツールを用いる事で懲らしめるというメッセージを送っているわけです。

中国政府は銀行が野放図な融資をしないよう、ローンの総額をモニターしています。しかし地方政府は不動産開発が重要な財源となっているため、開発を止めたくありません。また中央の指示、ないしは支配に対する、静かな不服従という側面もあります。

そこで特別の受け皿を作り、直接、銀行が地方政府の噛んだプロジェクトに融資しているような外観を持たない、融資をします。これがシャドー・バンキングであり、銀行本体の帳簿に載らないという意味で「飛ばし」行為です。

このようなローンは投資家に利回りを確約した信託商品としてフィナンシャル・アドバイザーを通じて裕福層などへ販売されています。

開発した物件が空室のままで家賃収入が足らない場合、投資家との間で「にぎった」利回りが確保できません。それで利払いをするために、また借りるというクレジットカードのはしごのようなコトが常態化しているわけです。

大まかに言えば、この手の不健全な地下融資は1.行政で取り締まるか、それとも2.市場メカニズムを通じてやめさせるかのどちらかだと思います。

1.は既に試み、失敗しました。

だから今は市中金利の「窒息」を敢えて放置し、キモセラピーのようにシャドー・バンキングが逝くのを、待っているような状況です。

このアプローチの問題点は、それが不動産取引以外の、中国経済全般にも影響を及ぼす点です。

いま中国の消費者物価指数は2.1%、生産者物価指数は-2.9%です。

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するとオーバーナイト金利が7%を超えているということは、ザックリ言って5%の負担を借り手に強いているわけです。「死ね!」と言っているのと、同じです。


ところが実際に死んでいるのはシャドー・バンキングの関係者たちではなく、実態経済の方です。昨日発表された6月の製造業購買担当者指数にも、それは現れています。

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普通、新興国の株式市場はアメリカの金利政策に大きく影響されます。

米国で景気が良くなり、金利上昇プレッシャーが生じると、先ず真っ先に逝くのが、新興国なのです。テキーラ・ショック、バーツ危機、ルーブル危機などは、いずれも米国の引き締めに関連して誘発されています。

今回の場合、FRBの量的緩和政策の縮小がそれに相当します。

もちろん、中国をはじめBRICsの中央銀行の多くは全く手をこまねいてきたわけではないと思います。

下は新興国の実質政策金利ですが、赤が最近の水準です。すると中国、ブラジル、ロシアなどは実質政策金利を高めに設定しており、むしろインド、タイランド、南ア、トルコ、フィリピン、マレーシアなどがユルフンな金利政策を採ってきたことがわかります。

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これは各国の株式市場の水準にも如実に現れていて、タイランドやフィリピンが高値圏に近いのに対して中国やブラジルが地獄をのたうち回るような相場展開になっているのは、そのせいです。

別の言い方をすれば、いまリスクを多く孕んでいる新興国市場は、むしろ最近まで高値を追っていたアセアン市場だということ。