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イギリス政府は今週中にも政府の郵便事業、ロイヤル・メールの新規株式公開(IPO)計画を発表します。

本件は英国ビジネス・イノベーション省(BIS)の管轄であり、ファロンBIS大臣が下院に対して計画を提出することになっています。

ロイヤル・メールは1516年にヘンリー8世が郵便事業を始めたのがその起源です。

英国では1980年代にサッチャー政権下で次々に国営事業が払い下げられました。その動きの中でもロイヤル・メールだけは売却されませんでした。

2011年に英国の郵政サービス法が改正され、民営化の道が開かれました。

英国政府は既にUBSとゴールドマン・サックスを売出しのグローバル・コーディネーターに指名しています。またバークレイズとメリルリンチもブックランナーとなります。

日本でも郵政事業民営化の議論があり、その絡みでこのディールは注目されますが、日本の郵政とロイヤル・メールの根本的な違いは、ロイヤル・メールが郵便事業に特化しているのに対し、日本郵政は、いわゆる「郵政三事業」とよばれる、郵便貯金や簡易保険などの金融サービスも行っている点です。

その意味において、ロイヤル・メールのIPOは、あまり参考にならないと思います。

むしろロイヤル・メールは米国のUPSやFedExなどを今後の事業展開を考える際の比較対象としています。

いまロイヤル・メールの売上構成を見ると、次のグラフのようになっています。

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今後は、売上高の48%を占める小包事業を戦略の中核に据える計画です。民営化にともなう自由化で、これまでは行えなかった新しいサービスを開始することもできるようになります。

一方、ロイヤル・メールは今後、郵便(レター)の減少に対応してゆかねばなりません。このため生産性の向上のイニシアチブを始めています。

歴史的にロイヤル・メールはイギリス国民に愛されている存在であり、カスタマー・サービスを通じて、他社との差別化を図ってゆきたいと考えています。

なお業績面では収支はトントンに近いです。

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政府による規制産業ではなくなることから、料金の設定など経営面での自由度が増すと思われるので、黒字体質を確保することは、夢ではありません。

これまでもロイヤル・メールは鉄道や電信の登場に代表されるイノベーションへの対応を余儀なくされてきました。従って、インターネットの時代だからサバイバル出来ないということは無いと思います。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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