中国人民銀行が銀行融資の総量規制を撤廃しました。これは金融制度の規制緩和の一環として行われるものだと思いますが、現時点では詳細がわからないので、ここに書くことは僕の憶測や主観に基づいています。

先ず中国の信用追加ですが、下のグラフに見られるように、銀行融資だけは厳格に規制されてきたため、横ばいです。

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しかし「シャドー・バンキング」と呼ばれる、理財商品が出回っているので、総量規制は尻抜けになっています。(このへんの詳しい議論に関しては別の記事に詳述しておきました)

さて、マーケットへの影響ですが、短期的には総量規制の撤廃は市場参加者から好感されると思います。

なぜならそれは見かけ上の緩和を意味するかもしれないし、これまで実態が掴めていなかったシャドー・バンキングを、オーバーグラウンドへ持って来る効果があるかもしれないからです。

しかし、規制緩和は、別の見方をすれば中央銀行が援用出来る、非金利操作によるコントロールのツールがひとつ、またひとつと失われてゆくことを意味します

事実、日本でも1980年代までは貸付金利や調達金利はコントロールされていました。どの金融機関が、どのデュレーション(期間)のお金を、どれだけ借りてよい……そういう事まで、厳格にきめられていたのです。

それがだんだん緩められ、最後の自由化は、確か外為法だったと記憶しています。1990年代初頭までは、まだ「1億円以上の海外送金は、届が必要」とか、そういうルールがありました。

さて、僕が言いたいのは、規制緩和は、決してすぐに市場形成の正常化や良い経済に直結しなかったという点なのです。むしろポリシー・ツールを全部手放してしまった日銀は、一番、なんとか市場に働きかけたい時に、だるまさんになってしまいました。

もちろん、今回の中国のシチュエーションは、バブルが弾けた頃の日本とは違います。だから中国も日本のような道を辿るとは、僕は言いたくはありません。

僕が言いたいのは、既に起きてしまっている、シャドー・バンキングによる金融市場の歪曲が問題なのであって、それはポリシー・ツールの変更で、自然に解消できる性格のものじゃ、たぶんない、アジャストメントの過程は痛みを伴うものだということです。

【追記→訂正アリ】
この記事をUPした後で、中国人民銀行の今回の規制緩和の詳細がわかりました。
今回の規制緩和は融資の総量規制ではなく、もうひとつ踏み込んだ、貸付金利の自由化でした。
しかし、それでもシャドー・バンキングの是正に対しては不十分だと思います。そのへんに関しては、新しい記事を参考にしてください。