アップルが最初にiPhoneを発表したときに始まった、消費者とスマートフォンのLove affair が、どうやら終了になったようです。

その理由は単純です。充分スマホが普及したからです。

誰もが持っているモノは、差別化になりません。

社会学者、エヴェリット・ロジャーズは普及学(Diffusion of Innovation)と呼ばれる概念で新しいテクノロジーやサービスがどう普及してゆくかの過程を説明しました。

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(出典:ウィキペディア)

ここでイノベーター(Innovators)とは新しいものに真っ先に飛び付くグループを指し、リスクを取ることを厭わず、若く、社会階級が高く、経済的に豊かで、社交的で、科学的な情報源の近くに居る一握りの人たちを指します。

アーリー・アダプター(Early Adopters)はオピニオンリーダーとも言われ、イノベーターよりも賢明に判断し、先取の精神から新技術を採用します。周囲に対する影響力を持ちます。

アーリー・マジョリティ(Early Majority)は暫く様子を見てから新技術を採用する人たちです。

現在の米国でのスマホの普及率から考えると、我々はレート・マジョリティ(Late Majority)の段階に来ています。レート・マジョリティは新しいものに対する猜疑心が強く、平均以下の社会ステータスに属する人が多く、お金に関するリテラシーは低いです。

さて、スマホの普及が、このように社会の広い層に広がってゆくに従い、新しく獲得されるユーザーの所得面や消費態度面でのプロフィールは、メーカーやキャリアにとって好ましくない(=美味しいお客さんではないという意味で)ものになってきます。


それはつまり「プレミアム・プライシングによって攻略できない人たち」と言いかえることが出来ると思います。

米国の携帯キャリアは、メーカーが新しいモデルを発表しても、契約で消費者を縛って、わざと乗り換えを難しくするように仕向けています。なぜなら実質的にキャリアが負担したスマホのコストを未だ回収できていないからです。

これがスマホ・サイクルの鈍化の一因となっています。

またアップルなどに顕著なのですが、イノベーションの欠如も目を覆わんばかりです。つまりスマホそのものが、魅力的でなくなってきているということです。

確かにユーザーのネット利用はデスクトップからスマホに移行しました。スクリーンの数も増えました。しかしスマホに広告を出稿したからといって、その広告がデスクトップより遥かに効果的かと言えば、それはかならずしもそうではありません。

広告費に対する高いリターンが無い以上、広告主は総量としてのアド・ダラーに上限を設けます。最近はテクノロジーの進化によって、この手のキャンペーン・マネージメントは極めて効率的に行えるようになってきています。

すると広告表示回数が増えて、しかも広告予算が増えないのであれば、単価は激減する以外にないのです

今回のグーグルの決算で明らかになった事は、クリック単価の下落はシクリカル(=景気変更に左右される)な理由ではなくセキュラー(=長期趨勢的)な現象であり、それは究極的にはアド・ダラーの総和によってディクテートされるということなのです。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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