マーク・ファーバーは「Dr. Gloom(陰鬱博士)」というニックネームを持つ投資家です。しばしば極端とも取れる預言をするし、弱気意見を述べることも多いので、キワモノ的な扱いを受けることもありますが、極めて敷居の高い『バロンズ』の座談会に名前を連ねていることからもわかるように、ちゃんとした投資家です。実際、座談会での推奨の長期トラックレコードは座談会メンバーのうちのトップ3に入ります。
そのマーク・ファーバーが「今のマーケットは1987年の大暴落の前と酷似している」とコメントし、ウォール街で話題になっています。
彼の主張のポイントは:
1. 株価指数は上昇しているが企業収益は伸びていない
2.87年は株価指数が上昇するにつれて新高値銘柄数が減った
3.現在、株価指数は新高値圏にあるが新安値銘柄数は意外に多い
4.ここから20%程度の調整があるだろう
というものです。
■■■
マークが1987年のアナロジーを出してきたのは、僕にとっては興味深かったです。なぜなら先日のインヴァスト証券のネット・セミナーで、たまたま1987年のマーケットのことについて言及したばかりだったからです。
そのマーク・ファーバーが「今のマーケットは1987年の大暴落の前と酷似している」とコメントし、ウォール街で話題になっています。
彼の主張のポイントは:
1. 株価指数は上昇しているが企業収益は伸びていない
2.87年は株価指数が上昇するにつれて新高値銘柄数が減った
3.現在、株価指数は新高値圏にあるが新安値銘柄数は意外に多い
4.ここから20%程度の調整があるだろう
というものです。
■■■
マークが1987年のアナロジーを出してきたのは、僕にとっては興味深かったです。なぜなら先日のインヴァスト証券のネット・セミナーで、たまたま1987年のマーケットのことについて言及したばかりだったからです。
僕が87年を持ちだした理由は、「株は高いのに、債券は安い」というチグハグに、居心地の悪さを感じているからです。当時も債券はモタモタしているのに株だけがズンズン高かったです。
下は米国の10年債金利のグラフですが、最近、米国の長期金利は上昇しています。

金利が上昇するということは、債券価格は逆に売られていることを意味します。
これは、好ましくありません。なぜなら長期金利の上昇は住宅ローン金利の上昇も誘発するからです。

住宅ローン金利の上昇は、住宅市場の勢いを削ぐ危険性があります。

するとこれまで米国の景気や雇用の回復を引っ張ってきた住宅セクターが「腰折れ」してしまうリスクがあるのです。
以前に紹介したように、現在、アメリカのマスコミは経済の不確実性に関して余り報道していません。

上は米国経済政策不確実性指数、略してEPU Indexと呼ばれるものです。
これは新聞に掲載される記事でどれだけ不確実性という言葉が頻繁に出るかなどを指数化したものです。
シカゴ大学のスティーブン・デービス教授、スタンフォード大学のニック・ブルーム教授などが編纂している指数です。
ギリシャ問題に端を発し、政府の借金に投資家の不安が集中した二年前の夏、この指数はピークをつけています。また2012年末に「財政の崖」の議論が期限切れアウトになってしまったときも指数は200にタッチしました。
現在はリーマンショック以降、最も低い水準となっています。つまりコンプレーセンシー(ぼんやりすること)が蔓延しているわけです。
しかし9月に議会が招集されると再び財政論議が開始されます。また連邦債務上限引き上げ問題も再び討議されることになります。
2年前の当時に比べて現在の議会は、より群雄割拠した状態になっており、一層、コンセンサスを形成しにくい状態にあります。
さらに9月には次期FRB議長の人選に関するニュースも出ると思います。FRB議長は大統領が指名し、上院がそれを承認するという手続きを踏みます。
オバマ大統領は9月にマーサズ・ヴィニヤードでのバケーションから帰ってきてから人事を発表すると言われています。
2年前の夏は米国のトリプルA剥奪の材料に加えて、QE2が終わってしまった後の、空白期間がありました。このとき、わざと次の量的緩和政策を直ぐに出さず、様子を見たわけです。すると相場は下がりました。

実はQE1が終わった後の空白期間でも、同様に相場は悪かったのです。
現在は債券買い入れプログラムの縮小が議論されています。それはつまり量的緩和政策の終了を目指す動きに他ならないわけですから、上のグラフの白い部分、つまり量的緩和政策の空白期間がこれから到来するわけです。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。
下は米国の10年債金利のグラフですが、最近、米国の長期金利は上昇しています。

金利が上昇するということは、債券価格は逆に売られていることを意味します。
これは、好ましくありません。なぜなら長期金利の上昇は住宅ローン金利の上昇も誘発するからです。

住宅ローン金利の上昇は、住宅市場の勢いを削ぐ危険性があります。

するとこれまで米国の景気や雇用の回復を引っ張ってきた住宅セクターが「腰折れ」してしまうリスクがあるのです。
以前に紹介したように、現在、アメリカのマスコミは経済の不確実性に関して余り報道していません。

上は米国経済政策不確実性指数、略してEPU Indexと呼ばれるものです。
これは新聞に掲載される記事でどれだけ不確実性という言葉が頻繁に出るかなどを指数化したものです。
シカゴ大学のスティーブン・デービス教授、スタンフォード大学のニック・ブルーム教授などが編纂している指数です。
ギリシャ問題に端を発し、政府の借金に投資家の不安が集中した二年前の夏、この指数はピークをつけています。また2012年末に「財政の崖」の議論が期限切れアウトになってしまったときも指数は200にタッチしました。
現在はリーマンショック以降、最も低い水準となっています。つまりコンプレーセンシー(ぼんやりすること)が蔓延しているわけです。
しかし9月に議会が招集されると再び財政論議が開始されます。また連邦債務上限引き上げ問題も再び討議されることになります。
2年前の当時に比べて現在の議会は、より群雄割拠した状態になっており、一層、コンセンサスを形成しにくい状態にあります。
さらに9月には次期FRB議長の人選に関するニュースも出ると思います。FRB議長は大統領が指名し、上院がそれを承認するという手続きを踏みます。
オバマ大統領は9月にマーサズ・ヴィニヤードでのバケーションから帰ってきてから人事を発表すると言われています。
2年前の夏は米国のトリプルA剥奪の材料に加えて、QE2が終わってしまった後の、空白期間がありました。このとき、わざと次の量的緩和政策を直ぐに出さず、様子を見たわけです。すると相場は下がりました。

実はQE1が終わった後の空白期間でも、同様に相場は悪かったのです。
現在は債券買い入れプログラムの縮小が議論されています。それはつまり量的緩和政策の終了を目指す動きに他ならないわけですから、上のグラフの白い部分、つまり量的緩和政策の空白期間がこれから到来するわけです。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。