先週、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのロンドン・オフィスでサマー・インターンをしていたドイツ人の学生が、急死する事件がありました。死因は明らかにされていませんが、メディアの報道によると「三日間連続で徹夜した」のが原因とか。

サマー・インターンがこき使われる場合があるということは、僕も耳にしたことがあります。僕のところへも毎年夏、人事から突然サマー・インターンが送り込まれ「面倒みてやってくれ」と言われました。

僕の部署は市場関係だったので朝は七時半と早かったですけど、ニューヨークの場が午後四時に引けると、もう仕事はありません。だから四時を回るとすぐに帰しました。また昼休みは自由に取って良かったので、インターンを二人(常にペアで送り込まれてきた記憶があります)二時間くらいの長いランチに連れてゆくことが多かったです。

思うにインターンを「戦力」として見込んだことは一度も無いし、それをあてにしなければいけないようでは雇う側の体制がなってないです。インターンは非戦力であり、お客さんであり、お荷物でしかありません。


だからインターンに生産性や結果を要求したことは一度も無いです。ただ、(インベストメント・バンキングという仕事を好きになって帰ってくれればいいな)という希望というか期待は、ありました。

だからインターンには口実程度の仕事は出したけど、実際にはインターンの繰り出してくる、いろいろな質問に、こっちが答える方が多かったです。つまりサマー・インターンで仕事が増えるのは、むしろ人事からメンター役を言い渡される僕の方だったのです。

そもそも戦力として勘定に入っていないのに、それではなぜサマー・インターンを採るのか? といえば、それは雇う側での不確実性を少しでも除去するためという大事な目的があります。

求職してくる学生が、どんな奴かを、短い時間の面接で知ることは不可能に近いです。しかも米国ではジョブ・インタビューの際に訊いていいことが、とても限られています。日本の感覚で女子学生に「ご両親と住んでいるの?」とかうっかり訊いてしまうと、人事部から大目玉を喰らいます。

その点、サマー・インターンはひと夏、観察する時間があるので、その若者が採るに値する人間かどうかは、マニュアル通りの模範答弁を聞くまでも無く、自ずとわかってきます。学生とのひと夏のやりとりで、本人の地アタマが良いかどうかは勿論のこと、仕事に対する姿勢や、チームワークが出来る人間かどうかなど、いろいろなことを知ることができます。

夏が終わり、サマー・インターンを人事部に返した後で、人事部の方から「どうでした?」という詳細な質問を受けます。複数のメンターのインプットを元に、人事部がその学生にジョブ・オファーを出すのだと思います。これは全員のインターンではなく、ごく一部です。

ただここが大事なところですけど、正式なオファーをもらわなかったインターンの場合でも「去年の夏は広瀬サンのところでサマー・インターンしました」と履歴書の備考欄に書きこむわけです。

そのとき、学生はメンターに「Can I use your name as a reference?」と依頼します。若し「OKだよ」と言えば、後に同業他社から確認の電話がかかって来ることを覚悟しなければいけません。「去年、あなたのところでインターンした、マーガレットは、どうでした?」という具合です。このインフォーマルな照会システムが、雇う側からすれば間違った人物を雇ってしまうリスクを大幅に軽減するのに大変有効なのです。

しっかりとしたインターンの場合、後日、サンキュー・レターを送ってきます。

Thank you for allowing me to use your name as a reference for XXXX Inc.


で始まるレターには、サマー・インターンの間にどんな仕事をして、何が楽しかったか、何が勉強になったかについて簡潔にまとめられているべきです。また相手が自分のことを忘れているといけないので、簡単に「私はいまXX大学で哲学を勉強していて、卒業後は株式営業の仕事をしたいです」という具合に、自分をリマインドさせるような要点を書き添えておくことを忘れません。

別に同業他社のメンターの意見を参考にするわけではないけれど、確認の電話をした相手から「あいつはイマイチだったな」と言われたら、やっぱり二の足を踏みます。

上の文章とは無関係ですが、サマー・インターンの暮らしを追った動画を参考のために掲げておきます。



(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。