最初にテストします。

【問題】
下は世界の国々の経済の基礎的要件です。これらの国々を為替が強いだろうという順番で1.(いちばん強い)~5.(いちばん弱い)まで並べ、そう考えた根拠を書きなさい。

1

どうですか? Z会の通信添削みたいでしょ(笑)

皆さんはどの国を1番にもってきましたか?

普通に多国間の経済を比較する際、先ずGDP成長率に目が行きますよね?

するとB国のそれが抜きん出て高いことがわかります。

しかし次にインフレ率を見るとB国は9.7%で高すぎです。

(あれれ、こんなに高いインフレ率は……新興国に違いないぞ)

そう思った読者も多いでしょう。

しかもB国の経常収支は大幅な赤字です。

なんとなく……慢性インフレ体質の経常赤字国のイメージが浮かんできます。すると為替は、あんまり強くないかも知れない……。

次にGDP成長率が高いのはD国です。しかしD国もインフレがひどい。しかも経常収支は大幅に赤字です。するとD国はたぶん新興国グループに属している国だけど、何らかの理由できわめてさびしいGDP成長率しか達成できてない国だなということがわかります。

その次はC国です。GDP成長率は、ここに掲げられた各国の中で真ん中くらい。でもインフレ率と経常収支はしっかりしています。僕なら、好感を持ちます。

その次にGDP成長率が高いのはE国です。でもこの国の場合、インフレ率が少し高いし、経常収支も酷いです。あんまり為替が強くなる要素は、無いかもしれない。

最後がA国です。GDP成長率が-0.6%になっています。景気刺激をしなければいけないので、為替は安いかも……。でもインフレ率は普通だし、経常収支はしっかりしている……。

まあ、そんなコトをツラツラ考えるわけです。


僕なら……たぶん:

1.C国
2.E国
3.A国
4.D国
5.B国

という順番で回答したと思います。

もちろん、この表は単年度(2013年を使用)での比較だし、為替水準を決めるのは、ここに掲げた以外のファクターも沢山あります。だから「これが正解」という答えは、無いと思います。それを断った上で、国名をタネあかしすると:

A国=EU
B国=インド
C国=日本
D国=ブラジル
E国=アメリカ

です。数字は、いずれも国際通貨基金(IMF)の予想値を使用しました。

標題の「消費税増税はレースカーに砂袋を積み込む事を意味する」と、この設問が一体、どう関係しているんだ? と皆さんは思うかも知れません。

僕が上で示したかったことは、いまアベノミクスとか色んな先入観を一切、取り払って、曇っていない心で各国のファンダメンタルズを比較した場合、「とうぜん、円安に決まっているだろう?」ということは、かならずしもそうとは言えないという点を指摘したかったのです。

実際、先ごろ発表された日本に関する年次協議報告書(Article Ⅳ Consultation)の中で、IMFは「経済のファンダメンタルズに照らして、円はすでに若干、割安な水準まで売られ過ぎている」という意味のコメントをしています。

日本の投資家は、まだまだ円安になることを待望していると思います。僕も(もう少し円安の方が、全てが上手く行くのにな)と円安を望んでいるひとりです。

でも今以上の円安を演出するためには、イッパツ何かをかましてやる必要があるのです。消費税増税は、その「何か」ではないでしょうか?

先ず増税はGDP成長率の頭を押さえる効果があるでしょう。それから見かけのインフレ率を押し上げる効果もあるかも知れません。それらはいずれも為替という観点からすれば円安演出に一役買うような効果なのです。

消費税増税は日本の徴税基盤を一層しっかりさせる効果があり、それは長期で見ればデット・サービス(=政府がちゃんと借金を返済してゆくこと)能力に対する、投資家の信頼感を増す効果があります。

消費税増税は、言うなればオートレースの際の試走の際、クルマのトランクにわざと砂袋を積んで、動きを鈍くするような行為です。

そうしないと日本というレースカーは、速すぎて円安になれないのです。