カナダのオイルサンドの会社、サンコア・エナジー(ティッカーシンボル:SU)が注目を集めています。

その理由は8月にウォーレン・バフェットの投資会社、バークシャー・ハサウェイとTブーン・ピッケンズという2人の著名な投資家が、揃って同社株を買い始めたからです。

オイルサンドは、コールタールのようなどろどろした砂混じりの原油です。その加工には普通の石油精製以上の手間がかかるし、環境にも余り良くないため、原油に品薄感が強く、原油価格が高い時だけ注目されます。

このところ原油価格は横ばいだし、世界の景気はそれほど強くないので、原油先高観はそれほど強くないと思います。それにもかかわらずバフェットらが同社株を買い集めているので「何か理由がある」と投資家は色々、思いを巡らせています。

ひとつにはサンコア自体が、原油価格が比較的低い水準でも、良く儲かっていることが指摘されます。下は同社の業績です。

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【略号の見方】
DPS一株当り配当
EPS一株当り利益
CFPS一株当りキャッシュフロー
SPS一株当り売上高


上のグラフを見て感じるのは、営業キャッシュフロー・マージンが23%(2013年)と高い点です。比較的大がかりな先行投資を必要とするビジネスとしては、素晴らしい数字だと思います。


リーマンショックの後に原油価格が下がった時、同社の業績も急速に悪化したのですが、業績悪化のもうひとつの理由は、油価が安い時であったにもかかわらずメンテナンスのための大幅な改良工事を実施しなければいけなかったからです。

それが終了し、営業面での効率性が改善を見たことも最近の数字に反映されています。現在の営業マージンは30%です。

カナダから米国の中西部を通って、メキシコ湾の近くまでオイルを運ぶ、キーストン・パイプラインが完成すると、同社の生産した原油の運搬が、一層簡単になります。ただキーストンに関しては未だプロジェクトが完成できるかどうかについて不透明な部分も多いです。

バフェットとの絡みで言えば、カナダで生産される原油の多くは所謂、タンカーとよばれる貨車、つまり鉄道で輸送されており、バフェットは鉄道会社も持っているので、全米の貨物の動きに関してはとりわけ詳細なデータを持っています。その意味で鉄道に依存する度合いの大きいサンコアにバフェットが注目したというのは興味深いです。

なおサンコアは過去5年間の営業キャッシュフロー成長率が年率10.5%、配当利回りは2.2%です。バランスシート上には約110億ドルの負債が載っていますが、これは自己資本の20%強で、十分、利払いには問題ない水準です。